日本において、脂肪肝の状況は深刻さを増しており、現在では国民の3人に1人が罹患しているという現実があります。かつては「飲みすぎ」「食べすぎ」が主な原因説とされていましたが、摂取カロリー・飲酒説の誤解はデータによって検証と否定されています。
本記事では、この脂肪肝激増の二大原因、すなわち植物油の過量摂取と歩行数の激減という現代的な要因に焦点を当て、脂肪肝の定義と種類、そしてその進行と可逆性について深く解説します。
また、安保徹先生が提唱する病気の3過ぎの影響(働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎ)や、吉野敏明先生の理論である四毒の影響(甘い物や植物油が脂肪肝を促進する仕組み)、五悪の影響(添加物・農薬が肝臓の解毒機能に与える負担)といった根本的な原因も掘り下げます。
さらに、脂肪肝を引き起こす可能性のある特定の医薬品についても触れながら、いかに飲酒停止と薬物中止の影響を考慮すべきかをお伝えします。
そして、これらの根源的な原因に対し、鍼灸治療と指圧マッサージの役割であるストレスと代謝の調整がどのように役立ち、鍼灸・指圧マッサージで乱れた心身を整え脂肪肝を根本改善へと導き、働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎ、四毒の摂りすぎを止め根本解決を目指すことができるのかを探り、脂肪肝の真の原因と対策を知るための具体的な情報を提供します。
この記事のポイント
- 脂肪肝の現状と真の原因: 脂肪肝が国民の3人に1人という深刻な状況にあり、従来の飲酒やカロリー過多ではなく、四毒(甘い物・植物油)の過剰摂取と運動不足が主な原因であること
- 脂肪肝の分類とリスク: 脂肪肝にはアルコール性と非アルコール性があり、特に非アルコール性のうちNASHは肝硬変や肝癌へ進行するリスクがあること
- 根本的な悪化要因: 安保先生の病気の3過ぎ(働きすぎ・悩みすぎ・薬の飲みすぎ)や吉野先生の五悪(添加物など)が、自律神経や肝臓の解毒機能を介して脂肪肝を悪化させること
- 鍼灸・指圧の貢献: 鍼灸治療や指圧マッサージが、脂肪肝の根本原因であるストレスと代謝の乱れを調整し、治療をサポートする役割があること
脂肪肝の真の原因と対策を知る:鍼灸・指圧マッサージの視点

脂肪肝の定義と種類:NAFLDとNASHの違い
脂肪肝とは、脂質の成分の一つである中性脂肪が、肝臓の細胞の30%以上に過剰に蓄積した状態を指します。肝臓はもともと脂肪を蓄える機能を持つ臓器ですが、この蓄積が多すぎると病的な状態となります。この脂肪肝は、主に原因によって二つの大きなタイプに分類されます。一つは、過度なアルコール摂取が原因で起こるアルコール性脂肪肝(ALD)です。これに対して、アルコールをほとんど飲まない、または少量しか飲まないにもかかわらず生じる脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼称します。多くの日本人が飲酒量の激減にもかかわらず脂肪肝になっている背景には、このNAFLDの激増があります。NAFLDはさらに二種類に細分化されており、その進行リスクが異なります。一つが非アルコール性脂肪肝(NAFL)で、これは脂肪が蓄積しているものの、炎症を伴わず、肝臓の線維化(硬くなること)が進まないタイプで、80~90%を占めるとされています。多くの場合はこの状態で留まり、それ以上深刻な状態に進行しないことが一般的です。しかし、もう一つが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、脂肪の蓄積に加えて肝細胞の炎症や破壊を伴い、進行性の病態となります。NASHは、残りの10~20%に該当し、徐々に線維化が進行し、最終的には肝硬変や肝癌といった重篤な状態に発展するリスクがあるため、特に注意が必要なのです。このNASHの発症には、NAFLDと同様にメタボリックシンドロームとの関連性が強く指摘されています。
日本における脂肪肝の状況:国民の3人に1人の現実
現在の日本において、脂肪肝の患者数はまさに激増の一途をたどっており、その実態は非常に深刻です。統計によると、脂肪肝の患者数は3000万人超と推計されており、これは国民の約3人に1人が罹患している計算になります。特に問題となっているのが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の急増で、その割合は目覚ましく上昇しています。例えば、1990年代には国民に対するNAFLDの比率は12.6%程度でしたが、2000年代前半には24%から34%にまで上昇し、現在では30%を超えるという驚異的な数値となっています。そしてもう一つ特筆すべきは、性別による状況の違いです。成人男性に限ると、なんと2人に1人が脂肪肝である可能性が指摘されているのです。しかも、この問題はもはや成人だけの話ではありません。若年層にも広がりを見せており、10代から20代の男性でも約17%、つまり5人に1人が脂肪肝になっているというデータも存在します。現在の患者数に基づいた予測では、2040年には国民の半分以上、約4900万人近くが脂肪肝になる可能性まで示唆されている状況です。従来の病気であれば、患者が増えれば原因を突き止め対策が講じられますが、日本人の平均摂取カロリーが戦前以下であり、飲酒量もピークから4割以上減っているという事実があります。このように、従来の「食べすぎ」や「飲みすぎ」という原因論が崩壊している中で、なぜこれほどまでに脂肪肝、特にNAFLDが若年層を含めて激増しているのかという点に、真の原因を探る必要性があると考えられます。
脂肪肝の進行と可逆性:飲酒停止と薬物中止の影響
脂肪肝は、進行性のリスクをはらんでいる一方で、早期の段階であれば改善や回復が期待できる「可逆性」を持つという側面があります。この可逆性の度合いは、脂肪肝の原因によって異なります。例えば、過度な飲酒が原因のアルコール性脂肪肝の場合、飲酒量を減らすか完全にストップすることができれば、脂肪肝は速やかに回復に向かいます。実際、通常は6週間以内に肝臓に蓄積した脂肪が消え、元の健康な肝臓の状態に戻る可能性が高いのです。これを聞くと安心するかもしれませんが、問題は、原因が取り除かれないまま進行した場合です。大量の飲酒を続けた場合や、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)が進行性のNASHに移行し、炎症が慢性化した場合、事態は深刻化します。肝臓へのダメージが蓄積し、やがては肝硬変、さらには肝癌へと発展するリスクが生じるのです。そして、前述の項目にも関連しますが、特定の医薬品の使用もまた、脂肪肝を進行させる大きな要因となり得ます。抗がん剤やステロイド、抗てんかん薬など、特定の薬を使い続けた場合、肝臓への毒性(肝毒性)が蓄積し、これが脂肪肝や肝炎を引き起こす可能性があります。したがって、もし特定の医薬品が原因で脂肪肝になっていると判明した場合、可能であれば医師の指導のもとで薬の使用を中止・変更することが、肝臓の回復、つまり可逆性を実現するための重要な一手となります。肝臓は「ものを言わぬ臓器」と称されるため、自覚症状が現れた時には既に進行しているケースも少なくありません。このため、原因を特定し、飲酒や薬物などの要因を早期に取り除くことが、脂肪肝を深刻化させないための鍵となります。
従来の「原因説」に対する検証と否定:カロリー・飲酒説の誤解
脂肪肝がこれほどまでに国民病として激増している現状について、一般的には「食べすぎ」や「飲みすぎ」が原因であると考えられがちです。特に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の増加は、肥満や過食が主因であると報道されることも多くあります。しかし、この従来の「原因説」は、日本の具体的なデータと比較検証すると、必ずしも正しくないことがわかります。まず、食べすぎ、つまり摂取カロリーの増加が原因であるという点についてですが、厚生労働省などのデータを確認すると、日本人の平均摂取カロリーは戦後から現在にかけて一貫して減少傾向にあるのです。例えば、1971年の国民1日あたりの平均摂取カロリーが2,287 kcalであったのに対し、現在は1,800 kcal台と、実は戦前の水準よりも低くなっていることが示されています。これだけのカロリー摂取量の減少にもかかわらず、脂肪肝が激増しているという事実は、単純な「カロリー過多」説が原因の全てではないことを強く示唆しています。一方で、飲酒説についても、NAFLDはアルコールが原因ではないため直接的には当てはまりません。しかし、アルコール性脂肪肝も含む飲酒習慣全体を見ても、日本国民の飲酒量は平成2年頃のピーク時から現在までに4割以上も減少しています。これらのデータから、いくら「食べすぎ」「飲みすぎ」といった従来の生活習慣病の枠組みで捉えようとしても、脂肪肝、特にNAFLDの爆発的な増加という現象を十分に説明することはできないのです。そのため、問題の核心はカロリーの総量やアルコールの摂取量ではなく、摂取する「ものの質」と「活動量」の変化という、より現代的な要因にあると考えられます。
脂肪肝激増の二大原因:植物油の過量摂取と歩行数の激減
従来の「原因説」が否定される中で、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)激増の背景には、現代の生活に深く根差した二つの大きな要因が潜んでいると考えられます。その一つが、植物油の過量摂取、そしてもう一つは歩行数の激減による運動不足です。まず、植物油の過量摂取についてですが、現代の日本人が摂取する油の量は、戦前の食生活と比較して1人あたり平均で50倍にも増加していると指摘されています。この増加の背景には、戦後の給食における食料転換政策や、その後のファーストフード、コンビニエンスストアの普及、そして生成された油分や糖分を大量に含む加工食品の蔓延があります。これらの精製された植物油の過剰な摂取は、肝臓のミトコンドリア機能を低下させ、エネルギー代謝の効率を悪化させます。本来、脂肪を燃焼してエネルギーに変えるはずの機能が低下することで、摂取された脂肪が燃焼されずに肝臓内に蓄積しやすくなるのです。また、加工食品に含まれる生成された糖質や果糖(フルクトース)も肝臓で直接脂肪に変換されるため、この油と糖質の複合的な摂取が、脂肪肝を強力に引き起こしています。そしてもう一つの原因が、歩行数の激減による運動不足です。都市部ではエレベーターやエスカレーターが多用され、車社会においては短距離でも車移動が常態化し、日本全体が「エスカレーター型社会」に変貌しました。これにより、一日の活動量(歩行数)が激減しています。運動不足は、肝臓での脂肪燃焼(ベータ酸化)の能力を低下させ、さらにインスリンの効きを悪くするインスリン抵抗性を引き起こします。このインスリン抵抗性の進行こそが、NAFLD、そして進行性のNASHへと繋がる最大の原因であり、植物油の過剰摂取と相まって、現代における脂肪肝激増の二大要因を形成しているのです。

鍼灸・指圧マッサージで乱れた心身を整え脂肪肝を根本改善
病気の3過ぎの影響:働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎ
安保徹先生が提唱した病気の3過ぎ(働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎ)は、現代病である脂肪肝、特に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の根深い原因として非常に大きく関わっています。まず、働きすぎと悩みすぎは、ともに私たちの体内で自律神経のバランスを大きく崩します。過度なストレスや疲労が続くと、アクセルの役割を果たす交感神経が優位な状態が慢性的に続き、血管が収縮して血流が悪化してしまうのです。血流が悪くなると、体全体の代謝効率が低下します。本来、脂肪を燃焼させてエネルギーに変えるべきミトコンドリアの働きも鈍くなり、摂取した脂肪が燃焼されずに肝臓に蓄積されやすくなります。さらに、ストレスに晒されることで分泌されるストレスホルモン(コルチゾールなど)は、血糖値を上昇させ、インスリンの効きを悪くするインスリン抵抗性を引き起こします。インスリン抵抗性はNAFLDの最大の原因であり、この悪循環によって脂肪肝が促進されてしまうのです。そして、薬の飲みすぎも肝臓に直接的なダメージを与えます。前述の通り、ステロイドや抗てんかん薬、乳がん治療薬など、特定の医薬品は肝毒性を持ち、脂肪肝を直接引き起こすリスクがあることが添付文書にも記載されています。このように、心身の過剰な負担と化学物質の過剰な摂取という「3つのすぎ」は、多方面から脂肪肝を誘発・悪化させる根本的な要因となるのです。
四毒の影響:甘い物や植物油が脂肪肝を促進する仕組み
吉野敏明先生が警鐘を鳴らす四毒(小麦、植物油、牛乳乳製品、甘い物)は、現代の脂肪肝激増の背景にある食生活の質の変化を象徴しています。これらは、肝臓での脂肪合成を強く促進する作用を持っています。特に影響が大きいのが「甘い物」と「植物油」です。まず、甘い物は、果糖(フルクトース)という形で肝臓に大きな負担をかけます。私たちがブドウ糖を摂取した場合、体内でエネルギーとして利用されますが、フルクトースは肝臓に運ばれると、他の糖よりも優先的に直接中性脂肪へと変換されてしまうのです。そのため、清涼飲料水やエナジードリンク、菓子パンなどに含まれる大量の甘味料が、そのまま肝臓を「フォアグラ化」させる材料となってしまうのです。次に、植物油(特に精製されたもの)の過量摂取です。脂肪肝激増の二大原因としても挙げられた通り、現代人は戦前と比較して桁違いに多くの精製された油を摂取しています。この精製油は、体内の細胞、特に脂肪を燃焼するミトコンドリアの働きを阻害する可能性があります。結果として、肝臓内での脂肪の分解(ベータ酸化)がスムーズに行えなくなり、処理しきれなかった脂肪が肝細胞内に溜まり込んでしまうのです。また、小麦に含まれる生成されたデンプンも、血糖値を急激に上昇させ、インスリンの過剰分泌を通じて脂肪合成を促します。このように、四毒はすべて、肝臓の代謝システムをオーバーヒートさせ、脂肪の「作る・溜める」を促進し、「分解する」を妨げるという仕組みで脂肪肝を悪化させてしまうのです。
■四毒の影響
| 四毒の要素 | 脂肪肝への具体的な影響 |
| 甘い物 | 【最も影響大】 砂糖、特に果糖(フルクトース)は肝臓で直接中性脂肪に合成されます。フラペチーノやエナジードリンクなどの生成糖質はこれにあたり、肝臓に最も負担をかけます。 |
| 植物性の油 | 【影響大】 過剰な植物油(特に精製されたもの)の摂取は、肝臓のミトコンドリア機能を低下させ、脂肪の燃焼(ベータ酸化)を妨げ、脂肪として蓄積させます。これは、脂肪肝激増の二大原因の一つとして指摘されています。 |
| 小麦 | 小麦に含まれる生成されたデンプンは、体内で急速にブドウ糖に変わり、血糖値を急上昇させます。これによりインスリンが大量に分泌され、肝臓での脂肪合成が促進されます。 |
| 牛乳乳製品 | 吉野先生の理論では、牛乳に含まれる成分が消化器官に炎症を起こし、全身の不調や代謝異常につながるとされています。間接的に代謝に影響を及ぼし、脂肪肝を悪化させる可能性があります。 |
💡 補足: 吉野先生の理論では「甘い物」は砂糖だけでなく、糖度の高いフルーツや野菜(メロン、サツマイモ、トウモロコシなど)も対象となります。
五悪の影響:添加物・農薬が肝臓の解毒機能に与える負担
五悪とは、吉野先生の理論で食品添加物、農薬、除草剤、化学肥料、遺伝子組み換え食品を指し、これらはすべて脂肪肝の悪化に間接的・直接的に影響を及ぼす毒性物質(毒素)として考えられます。これらの物質が体内に入ると、人体を守るための最大の解毒工場である肝臓に、その処理が委ねられます。本来、肝臓はアルコールや老廃物といった体内で発生する毒素の解毒に加え、代謝や脂肪の処理といった重要な役割を担っています。しかし、食品添加物や残留農薬といった体外から侵入する化学物質が増えすぎると、肝臓はこれらの解毒作業に過剰なエネルギーと酵素を費やすことになります。これを「解毒疲労」と呼ぶことができますが、解毒に忙殺されることで、脂肪の分解や合成といった本来の代謝機能が後回しにされてしまうのです。結果として、脂肪が効率よく処理されずに肝臓内に蓄積しやすくなり、脂肪肝の状態を悪化させる一因となります。また、化学物質による慢性的な炎症反応が肝細胞に負担をかける可能性もあります。つまり、五悪の摂取が多い食生活は、四毒による脂肪合成の促進に加え、肝臓自体を疲弊させ、その代謝能力を低下させるという二重の負担をかけることになります。だからこそ、脂肪肝の根本的な解決を目指すには、四毒を避けて脂肪の材料を断つだけでなく、五悪を避けて肝臓の解毒機能を守り、代謝能力を正常に保つことが極めて重要なのです。
脂肪肝を引き起こす可能性のある特定の医薬品
医薬品は病気の治療に不可欠ですが、残念ながらすべての薬が体に無害というわけではありません。医薬品の副作用として、肝臓に負担をかけ、脂肪肝を引き起こすリスクがある特定の薬剤が存在します。これは、安保徹先生の提唱する「薬の飲みすぎ」が病気の原因となる具体的な一例でもあります。多くの医薬品は、その成分が体内で代謝される際、主に肝臓で処理されますが、この過程で肝細胞に毒性(肝毒性)を示すことがあります。例えば、強力なコルチコステロイド(ステロイド剤)は、炎症を抑えるために広く使用されますが、体内の脂質代謝に影響を及ぼし、肝臓に脂肪を蓄積させやすいことが知られています。そして、抗乳癌剤として用いられるタモキシフェンも、その添付文書に脂肪肝や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を副作用として記載しているケースがあります。また、てんかんや躁病の治療に使われるバルプロ酸ナトリウムなどの一部の抗てんかん薬も、肝臓への毒性が警告されており、脂肪の蓄積を引き起こす可能性があります。他の例であれば、関節リウマチなどに使われるメトトレキサートも肝臓毒性があり、脂肪肝を副作用として起こすことが知られています。これらの医薬品は、病気の治療のために必要不可欠な場合が多いものの、服用中は定期的な肝機能検査が推奨されます。なお、すべての薬が脂肪肝を引き起こすわけではありませんが、もし脂肪肝と診断された際に特定の薬剤を常用している場合は、医師と薬剤師に相談し、肝臓への影響を確認することが非常に重要であると言えるでしょう。
■以下は、脂肪肝を引き起こすことが添付文書などで確認または警告されている薬剤です。
| 薬剤名 | 薬効分類/用途 | 関連する情報 |
| コルチコステロイド(糖質コルチコイド) | 合成副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)、強力な抗炎症作用。例:プレドニゾロン、コルチゾンなど。 | 全身性の炎症性疾患などに使用。肝臓に脂肪の蓄積を引き起こす。添付文書にも脂肪肝が記載されている。 |
| タモキシフェン | 抗エストロゲン剤、主に乳がんの治療に使用。 | 肝臓で代謝される。米国消化器病学会が、タモキシフェンが脂肪肝とそれに関連する肝炎を引き起こす可能性を警告している。添付文書には「肝機能異常、脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)」が記載されている。 |
| メトトレキサート | 抗リウマチ剤、抗がん剤。関節リウマチや特定の種類のがんなどに使用。 | 脂肪肝を含む肝臓毒性がある。添付文書にも脂肪肝が記載されている。 |
| バルプロ酸ナトリウム | 抗てんかん薬、躁病や偏頭痛の治療にも使用。 | 肝臓でほとんど代謝される。米国食品医薬品局(FDA)によって、脂肪の蓄積を起こし、肝臓に対する影響の一つであると警告されている。添付文書にも劇症肝炎などの重篤な肝障害とともに脂肪肝が記載されている。 |
| アスピリン | 炎症を抑える薬、小児のウイルス性疾患からの回復期にライ症候群という病態と関連する。 | ライ症候群は、脳の腫れや肝臓の脂肪の急速な蓄積を起こし、アスピリンが発症と肝臓への影響の要因として関与しているとされる。(※ライ症候群では、病態として肝臓に脂肪が溜まる。) |
| アミオダロン | 心臓のリズムを治療するための薬(抗不整脈薬)。 | 主に肝臓で代謝される。アメリカの学会などで、脂肪肝を引き起こす可能性があると言われている。 |
| ジルチアゼム | カルシウムチャネル遮断薬(降圧薬、狭心症治療薬)。 | 肝臓で代謝される。一部の人で脂肪肝を起こすことがある。 |
鍼灸治療と指圧マッサージの役割:ストレスと代謝の調整
脂肪肝の背景には、食事や運動といった生活習慣の問題だけでなく、働きすぎや悩みすぎによる自律神経の乱れが深く関わっています。この自律神経の乱れと、それによって引き起こされる代謝機能の低下に対して、鍼灸治療と指圧マッサージは非常に有効なアプローチを提供します。鍼灸治療は、体の特定のツボ(経穴)に刺激を与えることで、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があります。これによって、ストレスによって過剰に分泌されていたストレスホルモン(コルチゾールなど)の分泌が抑制され、脂肪肝を悪化させる一因であるインスリン抵抗性の改善を間接的にサポートすることが期待されます。また、東洋医学では肝臓の働きを「肝(かん)」として捉え、全身の気の流れを調整することで、肝臓への血流を改善し、代謝機能を活性化させることを目指します。一方、指圧マッサージは、主に筋肉の緊張を緩め、血行とリンパの流れを改善します。特に背中や腹部へのアプローチは、内臓の働きを調整する自律神経に影響を与え、全身の代謝効率を高めることに貢献します。このように、鍼灸と指圧マッサージは、薬物治療のように直接脂肪を分解するわけではありませんが、脂肪肝の根本原因である自律神経の乱れと代謝の悪化を調整する役割を担い、標準治療の効果を高めるための強力なサポートとなり得るのです。
*【池袋東口】癒しの森指圧鍼灸院で指圧マッサージ治療ご希望の方はこちらのページをご覧ください。
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働きすぎ、四毒の摂りすぎを止め根本解決を目指す
脂肪肝を根本的に解決するためには、単に薬に頼るのではなく、その病気を生み出している生活環境と習慣そのものを見直す必要があります。この根本的な解決の柱となるのが、安保徹先生の「病気の3過ぎ」と吉野敏明先生の「四毒」の排除です。まず、働きすぎや悩みすぎを止めることは、前述のように自律神経を整えるための第一歩となります。これに加えて、薬の飲みすぎの要因を医師と相談して見直すことが肝要です。そして、最も大きな要因である四毒(甘い物、植物油、小麦、牛乳乳製品)の摂りすぎを止めることが、肝臓への負担を劇的に軽減します。特に、脂肪肝を直接フォアグラ化させる甘い物(フルクトース)と、代謝を妨げる精製された植物油を徹底的に制限することが重要です。これにより、肝臓に送り込まれる「脂肪の材料」を断つことができるのです。これまでの話で、日本人の摂取カロリーや飲酒量が減っているにもかかわらず脂肪肝が激増しているのは、この四毒、そして五悪(食品添加物など)の摂取が増え、同時に運動不足が進行しているためだと理解できます。そのため、四毒・五悪を避け、意識的に歩行数を増やし、そして鍼灸や指圧マッサージで心身のリラックスと血流・代謝の調整を行うことが、悪循環を断ち切り、脂肪肝のない健康な体を取り戻すための根本解決へと繋がっていくと考えられます。
脂肪肝の根本解決を目指す:鍼灸・指圧マッサージの役割と重要性
- 脂肪肝とは中性脂肪が肝臓細胞の30%以上に過剰蓄積した状態である
- 脂肪肝にはアルコール性脂肪肝(ALD)と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)がある
- NAFLDは進行しないNAFL(80~90%)と進行性のNASH(10~20%)に細分化される
- NASHは肝硬変や肝癌へ発展するリスクがあるため注意が必要である
- 現在の脂肪肝患者数は3000万人超であり、国民の約3人に1人が罹患している
- 成人男性は2人に1人、若年層でも5人に1人が脂肪肝になっている
- 従来の「食べすぎ」「飲みすぎ」説は、摂取カロリーや飲酒量の減少から否定される
- 脂肪肝激増の真の原因は「植物油の過量摂取」と「歩行数の激減」である
- 植物油と甘い物(フルクトース)は脂肪合成を促進し、肝臓のミトコンドリア機能を低下させる
- 病気の3過ぎ(働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎ)は自律神経を乱し、脂肪肝を悪化させる
- 四毒(甘い物・植物油・小麦・牛乳乳製品)と五悪(添加物など)の排除が食生活改善の鍵となる
- アルコール性脂肪肝は飲酒を止めれば6週間以内に回復する可逆性がある
- 特定の医薬品(ステロイド、タモキシフェンなど)は肝毒性があり、脂肪肝を引き起こす可能性がある
- 鍼灸治療は自律神経を調整し、血流改善や代謝機能の活性化を目指す
- 指圧マッサージはストレス緩和と血行促進を通じて、根本解決をサポートする
