特発性拡張型心筋症の進行を緩やかにする鍼灸と指圧マッサージ

特発性拡張型心筋症の進行を緩やかにする鍼灸と指圧マッサージ

特発性拡張型心筋症(指定難病57)(IDCM)と診断され、現代医療における標準治療を続けている中で、「他にできることはないか」「心臓への負担をもっと減らしたい」とお考えではありませんか。
この難病は心臓のポンプ機能が低下する進行性の疾患であり、その特性から、患者様は常に不安を抱えながら、体のむくみや疲労、動悸などの心不全症状と向き合っていらっしゃいます。
本記事は、そうした特発性拡張型心筋症のケアとして、鍼灸指圧マッサージといった東洋医学のアプローチに焦点を当てたものです。
まず、病気の概要や、現代医療における標準治療の役割を確認した上で、IDCMの背景にある安保徹教授の働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎの影響や、心臓の慢性炎症と四毒の影響といった、生活習慣に深く根ざした悪化要因についても掘り下げます。
そして、鍼灸治療の役割や指圧マッサージの役割が、いかに自律神経の調整とリラックスに繋がり、心身の負担軽減に貢献するかを解説いたします。
さらに、豊島区にお住まいの方に向けて、当院での豊島区機能回復券の利用方法と当院での施術について具体的にご案内し、薬に頼らず根本解決を目指すスタンスで、患者様のQOL向上を目指すための情報を提供します。
心臓病患者への安全な施術注意点を守りながら、特発性拡張型心筋症の改善を支える鍼灸と指圧マッサージを活用し、早期のケアで心身の負担を軽減するためのヒントをまとめております。ぜひ最後までお読みください。

この記事のポイント

  • 特発性拡張型心筋症(IDCM)の概要と標準治療
  • 病態を悪化させる生活習慣(過労・ストレス・特定の食品)の影響
  • 鍼灸と指圧マッサージが自律神経やむくみへ果たす役割と安全性
  • 豊島区機能回復券の利用条件と当院での施術内容
目次

特発性拡張型心筋症のケアに鍼灸と指圧マッサージを

特発性拡張型心筋症とは

特発性拡張型心筋症とは、心臓の筋肉(心筋)が引き伸ばされて薄くなり、その結果、心臓のポンプ機能が著しく低下してしまう進行性の病気であります。この疾患の最大の特徴は、「特発性」という名称が示す通り、現在の医学では発症原因が特定されていないことです。多くの心臓病、例えば高血圧や心筋梗塞などによる心臓の損傷が原因で心臓が拡張した場合は「二次性心筋症」に分類されます。しかし、これらの既知の原因を全て除外した後でも、なお心臓が拡張し機能が低下している場合に、このIDCMと診断されるのです。主に、心臓から全身に血液を送り出す役割を担う左心室が拡張し、全身の血流が滞る心不全の症状を引き起こします。具体的には、体を動かした時の強い息切れ、全身のむくみ、疲労感、動悸などが主な症状であります。日本では特定難病に指定されており、治療が難しく、病気が進行すると命に関わる重篤な疾患として認識されています。このため、早期に発見し、心臓の負荷を減らしながら進行を遅らせる治療が何よりも重要になります。多くは中年以降に発症しますが、若年層でも見られることがあります。

特発性拡張型心筋症

現代医療における標準治療の役割

現代医療におけるIDCMの治療目的は、心不全の症状を緩和し、心臓への負担を軽減し、最終的に生命予後の改善を目指すことであります。主に薬物療法が中心となりますが、これは単に症状を抑えるためだけではありません。なぜならば、心臓病が悪化すると、それを補おうとして交感神経が過剰に働き、心臓にさらなる負担をかけてしまうという悪循環に陥るからです。そのため、標準治療では、この悪循環を断ち切ることを重視します。ACE阻害薬やARBは、血管を広げて血圧を下げ、心臓が血液を押し出す際の負荷を軽減します。ベータ遮断薬は、過剰な交感神経の働きを抑え、心拍数を落ち着かせて心臓を休ませ、心筋のリモデリング(心臓が変形・悪化すること)を防ぐ役割を持ちます。また、むくみや肺のうっ血といった症状に対しては、利尿薬が使用されます。さらに、重症度に応じて、突然死のリスクを減らす植え込み型除細動器(ICD)や、心臓の収縮タイミングを改善する心臓再同期療法(CRT)といったデバイス治療も選択肢に入るのです。多くは薬物療法を継続しますが、心不全が進行し薬ではコントロールできなくなった場合には、最終的に心臓移植が必要となる場合もあります。繰り返しますが、これらの治療は心不全の進行を遅らせるために必須であり、患者様の状態によって薬の種類や量は厳密に調整されます。

医原病の可能性と薬剤性心筋症

IDCMは原因不明とされる疾患ですが、心臓が拡張し機能が低下する病態は、特定の薬剤の副作用によって引き起こされることが知られており、これは広義の医原病、つまり薬剤性心筋症として分類されます。医原病の可能性として、最も有名なのは、特定の抗がん剤による心毒性であります。例えば、アントラサイクリン系薬剤は、心筋細胞に不可逆的な損傷を与えるリスクが確認されています。ただし、医原病の原因となりうる薬剤は、抗がん剤だけではありません。その中の一つに、一部の向精神薬免疫抑制剤があります。例えば、一部の抗精神病薬は、心筋に直接的な影響を与えたり、不整脈を誘発したりすることで心筋症につながる症例が報告されています。また、筋肉増強を目的として不適切に使用されるアナボリックステロイドも、心肥大や拡張型心筋症の原因となることが医学的に広く認識されています。このように、ある薬剤の使用が原因で心筋症が発症した場合、それはIDCMではなく「二次性拡張型心筋症」と診断されます。これは非常に重要な区別です。なぜならば、薬剤性心筋症は、原因薬剤の中止や適切な治療によって心機能が回復する可能性があるからです。そのため、医療従事者は常に、患者様の服薬歴と心筋症の発症時期を照らし合わせて、原因薬剤の特定に努める必要があるのです。

安保徹教授の働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎの影響

安保徹教授は、病気の背景には自律神経の乱れ免疫力の低下が深く関わっているとし、「働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎ」という3つの「過ぎ」を指摘しました。この考え方は、特発性拡張型心筋症(IDCM)の病態を悪化させる要因として、現代医学においても非常に重要な示唆を与えています。まず「働きすぎ」による過労は、心臓の鼓動を速め、血管を収縮させる交感神経を常に優位にさせてしまうのです。IDCMの心臓は既にポンプ機能が低下しているため、交感神経が過剰に働くと心拍数と血圧が上昇し、弱った心臓に過大な負荷をかけ、心不全の急激な増悪につながります。次に「悩みすぎ」による精神的ストレスも同様に、自律神経のバランスを崩す主因です。慢性ストレスは炎症を促進するホルモンの分泌を促し、心筋の慢性的な炎症を助長してしまうのです。その結果、不整脈の発生リスクを高めたり、心不全の急性増悪の引き金になることもあります。そして最後に「薬の飲みすぎ」ですが、前述の通り、これは薬剤性心筋症のリスクを高めるだけでなく、多剤服用による薬物相互作用や、不必要な薬が心臓や腎臓に間接的な負担をかけることを意味しています。このように考えると、IDCMの患者様が心身を休ませ、自律神経を安定させることは、標準治療を支えるための基本的な対策となるのです。

心臓の慢性炎症と四毒の影響

吉野敏明先生が提唱する「四毒」(小麦、植物油、牛乳・乳製品、甘い物)という概念は、直接的なIDCMの原因論としては公的なガイドラインに記載はありません。しかし、これらの食品群の過剰摂取が心臓病を悪化させる「慢性炎症」を助長する可能性については、栄養学的に広く議論されています。例えば、精製された甘い物や過剰な小麦(グルテン)の摂取は、血糖値を急激に上げ、インスリン抵抗性と全身の慢性炎症を促進します。心臓病患者にとって、炎症は心筋症の進行を早める重大な悪化因子となるのです。また、植物油の中でも特にサラダ油などに多く含まれるオメガ-6脂肪酸は、体内で炎症を促進する物質の原料となるため、抗炎症作用を持つオメガ-3脂肪酸とのバランスが崩れると、心筋や血管の慢性炎症を招きます。一方、牛乳・乳製品についても、体質によっては消化器系の炎症を引き起こす可能性があります。これらの理由から、IDCMの患者様が心臓の負荷を減らすためには、単にカロリーを制限するだけでなく、炎症を避ける食事への転換が非常に重要になります。具体的な食事の調整としては、精製された糖質を避け、オメガ-3脂肪酸を意識的に増やし、ご自身の体質に合わない食品を控えることが、標準治療の効果を高めるための強力なサポートとなるのです。

特発性拡張型心筋症の改善を支える鍼灸と指圧マッサージ

鍼灸治療の役割:自律神経の調整とリラックス

特発性拡張型心筋症(IDCM)の治療は薬物療法が中心ですが、鍼灸治療はそれを補完する役割が期待されています。その主な役割は、心臓に負担をかける自律神経の乱れを整えることです。IDCMの患者様は、心臓機能の低下や病気への不安から、心拍数を上げ、血管を収縮させる交感神経が過剰に働きがちです。これは心臓への負荷を増やし、心不全の悪化要因となります。鍼灸治療では、特定のツボを刺激することで、体を休ませ、回復を促す副交感神経を優位にさせます。これは、標準治療で用いられるベータ遮断薬が目指す効果を、身体の内側からサポートすることにつながるのです。このように、自律神経が安定すると、動悸や不整脈の頻度を軽減したり、質の高い睡眠が得られたりといったメリットがあります。また、東洋医学的な観点から見ると、鍼灸はIDCMを「気・血・津液の滞り」として捉えます。そのため、患者様一人ひとりの体質や症状(むくみ、冷え、疲労感など)に合わせてツボを選び、全身のバランスを整えるのです。ただし、鍼灸治療はIDCMの根治を目指すものではなく、必ず主治医の診断と標準治療を継続することが大前提となります。

指圧マッサージの役割:疲労とむくみの緩和

指圧マッサージは、IDCM患者様の全身的な不快症状を緩和し、心臓リハビリテーションを円滑に進めるためのサポート役として期待できます。心不全の患者様は、運動不足や心機能低下による血行不良から、肩こり、背中の張り、腰痛といった筋肉の緊張や痛みが起こりやすいのです。指圧マッサージは、これらの硬くなった筋肉に穏やかな圧力を加えることで、緊張を緩め、血行を促進します。これが、痛みや疲労感の軽減につながるのです。特に重要なのが、心不全の症状として現れるむくみ(浮腫)の緩和です。下肢のむくみは、心臓に戻る静脈血が滞ることで起こりますが、優しく行うマッサージは、末梢から中枢(心臓)へ血液やリンパ液の回収を助ける効果があります。そのため、むくみによる不快感を和らげ、足の重だるさの改善に役立つのです。他にも、マッサージによる皮膚への接触は、心地よいリラックス効果をもたらし、前述の鍼灸治療と同様に、自律神経の安定化に貢献します。一方で、注意すべき点としては、強い圧迫や摩擦は内出血や血圧変動のリスクがあるため、心臓病患者への施術経験が豊富な施術者に、常に弱めの圧で施術してもらうことが大切です。

心臓病患者への安全な施術注意点

特発性拡張型心筋症の患者様への施術において、最も重要になるのは安全性の確保です。そのため、施術を提供する前に、施術者は患者様の情報と状態を徹底的に確認する必要があります。まず、施術の可否について主治医の許可を得ているかを確認することが不可欠です。次に、施術中に心臓に負担をかけないよう、体位と施術時間に細心の配慮を行います。仰向けで息苦しさを感じる起坐呼吸の傾向があるため、枕やクッションを使って頭部を高く保ち、楽な姿勢を調整しなければなりません。また、急激な血圧変動を防ぐために、体位変換はゆっくりと行い、施術時間も患者様の疲労度に合わせて短縮することを提案する必要があります。加えて、多くのIDCM患者様は抗凝固薬を服用しているため、内出血のリスクを避けるために、指圧の強さは常に「心地よい」と感じる程度の弱圧に留める必要があります。むくみに対してマッサージを行う場合であっても、血栓(深部静脈血栓症)のリスクを考慮し、熱感や強い痛みのある部位には触れないことが原則です。万が一、施術中に動悸や息切れ、胸痛などがあれば、直ちに施術を中止し、安静にした上で主治医への連絡や救急対応を行う準備が必須となります。

豊島区機能回復券の利用方法と当院での施術

豊島区に在住し、特発性拡張型心筋症(IDCM)と診断された患者様で、身体障害者手帳の肢体不自由(1級から4級)など特定の条件を満たしている方は、豊島区から発行される機能回復券を利用して、当院で指圧マッサージや鍼灸の施術を受けることが可能であります。この制度は、難病や障害を持つ方の機能回復とQOL維持を支援する目的があり、当院はその取り扱い治療院です。券は申請された月から翌年3月分まで、1か月に1枚ずつ交付され、翌年度からは1年分が一括で交付されることになります。利用方法は簡単で、施術1回につき券を1枚使用し、自己負担額の300円をお支払いいただくだけで、当院での施術が受けられます。当院では、券1枚につき25分の指圧マッサージ施術を提供しており、多くの方が券2枚を使用して50分の施術を選ばれています。また、鍼灸治療をご希望の場合は、機能回復券による施術費の他に、鍼や灸の道具代・技術料として別途1,100円をいただくことになります。ただし、入院中や施設入所中の方はこの券の交付対象外となります。ご利用に際しては、事前に区役所に申請し、券の交付を受けているか確認が必要であります。

池袋東口:癒しの森指圧鍼灸院で機能回復券をご利用の方はこちらのページをご覧ください

薬に頼らず根本解決を目指すスタンス

私たちの考える根本解決とは、薬物療法などの標準治療を継続しながら、心臓病を悪化させている生活習慣や心身の負担を取り除くことであります。つまり、前述の安保徹教授の考え方にある「働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎ」を止め、さらに「四毒」として指摘される食習慣を改善することを目指します。多くは、心臓の病態が悪化すると、心臓を守ろうとして交感神経が過剰に働き、それがさらなる心臓の疲弊を招くという悪循環に陥るのです。この悪循環を断ち切るために、当院では指圧マッサージや鍼灸を通して、全身の血行を促進し、自律神経を安定化させることを目的として施術を提供します。このように心身がリラックスし、過剰なストレスから解放されることで、標準治療の効果を高める間接的な役割を果たすのです。いくら良い薬を飲んでいても、過労や強いストレス、炎症を促す食事を続けていれば、心臓への負担は増え続けてしまいます。だからこそ、私たちの施術は単なる症状緩和ではなく、患者様が自ら持つ治癒力や免疫力を高めることを重視し、日常生活の質を向上させることを目指しています。

まとめ:早期のケアで心身の負担を軽減

特発性拡張型心筋症は、現在の医療をもってしても原因不明とされ、患者様やご家族にとって大きな不安を伴う病気であります。しかし、現代医療の標準治療(薬物療法やデバイス治療)を中断することなく、並行して鍼灸や指圧マッサージといった補完代替医療を取り入れることで、心身の負担を大きく軽減できる可能性があります。心臓病の悪化因子である慢性的なストレスや過労、そして不適切な食習慣は、すべて自律神経の乱れと慢性炎症につながるのです。当院では、指圧マッサージや鍼灸を通じて、心臓に負担をかける交感神経の緊張を緩和し、リラックス効果と血行促進により、心不全に伴う全身のむくみや疲労感を和らげるお手伝いをいたします。豊島区機能回復券を利用できる患者様は、ぜひこの機会に、心身のメンテナンスをご検討ください。早期に適切なケアを始めることが、心臓病の進行を遅らせ、充実した日常生活を取り戻すための第一歩となるでしょう。繰り返しますが、施術にあたっては、必ず主治医の許可と最新の病状確認が必要であり、患者様の安全を最優先に施術を提供することを徹底いたします。

特発性拡張型心筋症の改善を支える鍼灸と指圧マッサージ

  • 特発性拡張型心筋症(IDCM)は原因不明で心臓のポンプ機能が低下する特定難病である
  • 病状が進行すると、息切れやむくみ、疲労感などの心不全症状を引き起こす
  • 現代医療の標準治療は、薬物療法を中心に心臓の負荷軽減と生命予後の改善を目指す
  • 標準治療では血管拡張薬やベータ遮断薬などが用いられ、心臓への負担を抑える
  • 重症度によっては植え込み型除細動器(ICD)などのデバイス治療も選択肢となる
  • 特定の薬剤の副作用で起こる心筋症は、医原病や薬剤性心筋症としてIDCMと区別される
  • 薬剤性心筋症の場合、原因薬剤の中止などで心機能が回復する可能性がある
  • 安保徹教授は、過労、悩みすぎ、薬の多用が自律神経を乱し病態を悪化させると提唱する
  • 慢性的なストレスや過労は交感神経を優位にし、弱った心臓に過大な負荷をかける要因となる
  • 吉野敏明先生の提唱する「四毒」(甘い物、小麦など)は全身の慢性炎症を助長する
  • IDCM患者のケアとして、炎症を避ける食事への転換は心臓負荷の軽減に重要である
  • 鍼灸治療は特定のツボ刺激を通じて副交感神経を優位にし、自律神経の安定化に役立つ
  • 指圧マッサージは穏やかな圧で全身の緊張を緩め、心不全に伴う疲労やむくみを緩和する
  • 施術は必ず主治医の許可を得て、体位や圧の強さ、時間に細心の注意を払い安全を最優先する
  • 豊島区在住の対象者は機能回復券を利用でき、当院では指圧マッサージまたは鍼灸(別途費用)が利用可能である
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