この記事は、指定難病である多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の基礎知識と、その症状緩和を目的として鍼灸や指圧、マッサージといった補完療法を検討されている方に向けて書いています。
多発血管炎性肉芽腫症とは、以前はウェゲナー肉芽腫症や、関連疾患がストラウス症候群など別名で呼ばれていた、膠原病領域に分類される全身性炎症疾患のひとつです。
この病気は、主に鼻、肺、腎臓などの小~中血管に炎症(血管炎)を引き起こし、重篤な臓器障害を引き起こす可能性があります。
多くの症例で好酸球が著しく増加し、喘息やアレルギー性鼻炎を背景に持つことが多く、好酸球性副鼻腔炎の治療中に発症することや、好酸球関連疾患の一連の流れの中で出現しやすいという特徴があります。
病気の原因は不明とされていますが、一部の薬剤との関連が報告例として存在します。そのため、現在の標準的な多発血管炎性肉芽腫症の主な治療薬(ステロイド、免疫抑制薬など)に加え、体質改善を目指す膠原病は四毒抜き(小麦・植物油脂・乳製品・甘い物)が予防・治療に重要という考え方や、機能回復券を利用した鍼灸治療や指圧マッサージの有効性と注意点についても解説します。
特に、豊島区機能回復券と癒しの森指圧鍼灸院での利用についても具体的に触れていますので、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 疾患の基礎知識と原因:多発血管炎性肉芽腫症(GPA)が指定難病であり、血管炎を伴う膠原病であること、好酸球増加を伴う関連疾患(EGPA)では喘息や薬剤(LTRAなど)が発症の背景にある可能性があること
- 標準的な治療薬:GPAの治療がステロイドや免疫抑制薬(シクロホスファミド、リツキシマブなど)による強力な薬物療法が必須であること
- 補完療法の役割と注意点:鍼灸や指圧マッサージは治療薬の代わりではなく、症状緩和やQOL向上のための補完療法であること、また、血管炎の悪化やステロイドによる骨折リスクに注意が必要なこと
- 公的支援制度の利用:難病患者向けの機能回復券(はり・きゅう・マッサージ等)の対象疾患であり、癒しの森指圧鍼灸院での利用が可能であること
多発血管炎性肉芽腫症の基礎知識と鍼灸・指圧マッサージ
多発血管炎性肉芽腫症とは
多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with Polyangiitis, GPA)は、以前はウェゲナー肉芽腫症(Wegener’s Granulomatosis)という名称で知られていた、国の指定難病(指定難病44)に定められている慢性的な全身性疾患です。この病気の最も中心的な病態は、身体の小型血管(顕微鏡でしか見えないような細動脈、細静脈、毛細血管)に炎症が起こる「血管炎」と、炎症によって生じる「肉芽腫」の形成です。特徴的なのは、この炎症が主に鼻、肺、腎臓という三つの重要な臓器に集中して現れることです。初期には発熱、全身倦怠感、食欲不振といった、一般的な炎症反応を思わせる全身症状から始まることが多く、その後、膿性の鼻水や鼻出血、難聴、咳、血痰、呼吸困難、血尿、むくみといった、各臓器の機能障害に基づく症状が次々に、あるいは同時に現れます。診断が遅れると、腎機能の低下や広範な肺胞出血など、生命に危険を及ぼす重篤な状態に進行する可能性があるため、早期の診断と治療開始が非常に重要とされています。病気の成り立ちには、免疫の異常が深く関わっていると考えられており、特に抗好中球細胞質抗体(ANCA)の一種であるPR3-ANCAが高率に検出されることが特徴の一つです。
膠原病領域に分類される全身性炎症疾患のひとつ
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は、その病態から膠原病、またはより広範な自己免疫疾患の領域に分類されます。膠原病とは、全身の血管や皮膚、筋肉などの結合組織(コラーゲンを主成分とする組織)に炎症や変性が生じる病気の総称であり、特に免疫システムの異常によって自分自身の組織を誤って攻撃してしまうことが原因とされています。GPAは、血管炎が主体の疾患群の中でも、特定の自己抗体であるANCAが陽性となることから「ANCA関連血管炎」の一つに位置づけられています。このANCA関連血管炎には、GPAの他に顕微鏡的多発血管炎(MPA、指定難病43)や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、指定難病45)が含まれます。これらの疾患は、共通して小型血管の炎症を特徴とし、免疫抑制薬による治療が有効である点も共通しています。この分類は、病気のメカニズムが全身の自己免疫の破綻にあることを示しており、特定の局所的な病気ではなく、免疫システム全体を制御する治療が必要であることを意味しています。そのため、膠原病の専門医による診断と、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬、生物学的製剤といった免疫をコントロールする薬剤を用いた治療が、標準的なアプローチとされています。
以前は「ストラウス症候群」など別名で呼ばれていた
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)を含む血管炎性疾患群は、病気の定義や名称が歴史的に変遷をたどってきました。GPAは、前述の通りウェゲナー肉芽腫症が以前の正式名称でした。しかし、この名称が病気を最初に報告したドイツの病理学者、フリッツ・ウェゲナーに由来することから、倫理的な観点や、より病態を正確に表現するという目的から、2011年に現在の多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with Polyangiitis)に改名されました。同様に、ANCA関連血管炎の一つである好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、指定難病45)は、以前は「チャーグ・ストラウス症候群」という別名で呼ばれていました。これは、1951年にこの病気を報告した医師、ジェイコブ・チャーグとロッテ・ストラウスにちなんだ名称です。これらの旧称が使われなくなった背景には、診断基準や病態理解の進展があるほか、人名に由来する名称ではなく、病理学的な特徴(肉芽腫を伴う血管炎)を反映した名称を使用することで、疾患の国際的な標準化を図る目的があります。「ストラウス症候群」という名称は、現在でも特に古い文献や一部の医療現場で使われることがありますが、最新の分類ではEGPAに統一されています。これらの名称の変遷は、GPAやEGPAといった難病が、小型血管炎、肉芽腫、臓器障害という共通の病態を持ちながらも、それぞれが異なる特徴(例:EGPAでは喘息と好酸球の著しい増加が顕著)を持つことを明確に区別し、より適切な治療法を選択するために行われてきた医学的な努力の歴史を示しています。
血管炎(特に小~中血管)を引き起こす全身性疾患
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は、身体の様々な部位、特に鼻、肺、腎臓といった重要な臓器の小型から中型の血管に炎症(血管炎)を引き起こす、全身性の難治性疾患です。血管炎とは、血管の壁に炎症が起こることで、血管が狭くなったり、詰まったり、あるいは逆に破れやすくなったりする状態を指します。この炎症反応は、血管を通じて全身の組織や臓器に血液が供給されるのを妨げ、その結果、虚血(血液不足)や組織の壊死(組織が死ぬこと)を引き起こします。GPAの場合、この血管炎に加えて、炎症細胞が集まってできる肉芽腫と呼ばれるしこりが特徴的に見られます。この二つの病変が組み合わさることで、症状が多彩になり、重症化する傾向があります。例えば、上気道(鼻や耳)の血管炎と肉芽腫は慢性的な鼻炎や難聴、鼻の変形(鞍鼻)を引き起こし、肺の病変は血痰や呼吸困難を、腎臓の病変は急速進行性糸球体腎炎という重篤な腎機能障害を引き起こします。GPAが「全身性疾患」と呼ばれるのは、病変が特定の臓器に留まらず、皮膚の紫斑、関節の痛み、末梢神経の障害(多発神経炎)など、全身の多臓器にわたって現れるためです。血管炎は、臓器の機能に直接関わるため、早期に強力な免疫抑制療法によって炎症を鎮め、臓器の損傷を防ぐことが、予後を大きく左右する鍵となります。
多発血管炎性肉芽腫症の主な治療薬
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の治療は、病気の進行を抑え、臓器障害を防ぐために、免疫の異常を抑制する薬物療法が必須となります。治療は、病気の活動性を迅速に鎮める「寛解導入療法」と、病状が落ち着いた状態を維持する「寛解維持療法」の二段階に分けられます。
寛解導入療法
病気の活動性が高い時期には、強力な免疫抑制作用を持つ薬剤が組み合わせて使用されます。
- 副腎皮質ステロイド(ステロイド):最も基本となる薬剤で、中等量から高用量で用いられます。強力な抗炎症作用と免疫抑制作用により、血管の炎症を速やかに沈静化させます。主にプレドニゾロンなどが使用されます。
- 免疫抑制薬:ステロイドと併用され、免疫細胞の異常な増殖や活性を抑えます。最も標準的に使われるのはシクロホスファミドです。
- 生物学的製剤:免疫細胞の中でもB細胞を標的とするリツキシマブ(抗CD20抗体)が、シクロホスファミドの代替薬や、腎機能が高度に低下している場合などに使用されます。
- 補体阻害薬:近年、炎症を引き起こす免疫システム(補体系)の一部をブロックするアバコパンが、ステロイドの減量や腎機能の保護を目的として併用されるようになっています。
寛解維持療法
病状が落ち着いた後も再燃を防ぐために治療は継続されますが、寛解導入期よりも副作用が少ない薬剤に切り替えられます。
- ステロイド:徐々に減量され、維持量で使用されますが、最終的には中止を目指します。
- 免疫抑制薬:アザチオプリンが標準的な維持療法薬です。その他、メトトレキサートなどが使われることもあります。
- 生物学的製剤:リツキシマブが寛解維持目的で継続的に投与されることもあります。
これらの治療は、重症度や臓器障害の程度に応じて専門医によって個別化されます。治療中は免疫力が低下するため、感染症の予防と早期発見が最も重要な注意点となります。
好酸球が著しく増加することが特徴
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と深く関連する疾患に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、指定難病45)があります。このEGPAの最も顕著な特徴が、血液中や病変組織における好酸球の著しい増加です。好酸球は白血球の一種で、通常は寄生虫感染やアレルギー反応の際に増加しますが、EGPAではその増加が非常に目立ちます。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症という病名にもある通り、この細胞が病態の中心的な役割を果たしていると考えられています。EGPAの患者さんは、多くの場合、この好酸球の異常な活動の前に喘息やアレルギー性鼻炎といったアレルギー性の病態を背景に持っています。実際、気管支喘息の症状が出てから数年後に、好酸球性副鼻腔炎や好酸球性中耳炎といった局所的な好酸球性の炎症を経て、最終的に全身性の血管炎であるEGPAへと進行するという一連の流れが指摘されています。これは、これらの好酸球性の病気がワンウェイ病態として一続きの疾患群である可能性を示唆しています。好酸球の増加は、単なる血液検査の異常に留まらず、好酸球が放出する特殊なタンパク質や活性物質が血管や組織を直接傷つけ、血管炎や肉芽腫の形成に関与することで、臓器障害を悪化させると考えられています。したがって、EGPAの治療では、全身の炎症を抑えるとともに、この異常に増えた好酸球の活動を抑制することも重要な治療戦略の一つとなります。
原因は不明だが薬剤との関連が報告例として存在
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の主要な原因は、現在のところいまだに不明とされています。しかし、この病気が免疫の異常によって引き起こされる自己免疫疾患であることは広く認識されています。特に、特定のタンパク質であるPR3に対する自己抗体(PR3-ANCA)が患者の血液中から高頻度に検出されることから、この自己抗体が好中球を活性化させ、結果として血管炎や肉芽腫を引き起こすというメカニズムが有力視されています。一方で、原因不明とされる中でも、特定の薬剤の使用後に症状が発症したという報告例が複数存在します。特に、喘息やアレルギー性鼻炎の治療に用いられるロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)については、その添付文書に、副作用として好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧チャーグ・ストラウス症候群)の発症リスクが記載されていることが指摘されています。これは、LTRAが一部の患者さんにおいて好酸球の増加や異常な活動を引き起こし、全身性の血管炎を誘発する医原病(医療行為が原因で引き起こされる病気)である可能性を示唆しています。ただし、これらの報告や添付文書の記載は、全ての患者さんが薬剤によって発症するという意味ではありません。しかし、治療薬の服用と難病の発症に時間的な関連があるという事実は、患者さん自身が自分の病気と使用している薬剤との関係について深く理解し、疑問を持つきっかけとして重要です。現状、GPAの主な治療は免疫抑制療法ですが、発症の背景にある薬剤や生活習慣の要因についても多角的に考える視点は、病気の管理において有益な情報となり得ます。
喘息やアレルギー性鼻炎を背景に持つことが多い
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と密接に関連する疾患、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、指定難病45)は、その発症において喘息やアレルギー性鼻炎といったアレルギー性の病態を背景に持つことが非常に多いのが特徴です。EGPAの患者さんの大多数は、全身性の血管炎を発症する数年前に、すでに気管支喘息を発症しているケースが知られています。これらのアレルギー性疾患は、体内で好酸球という炎症細胞が過剰に活動している状態を反映しており、血管炎に至る前の初期病態と考えられます。喘息は、気道の慢性的な炎症と狭窄を引き起こす病気であり、アレルギー性鼻炎は鼻粘膜の炎症を引き起こします。これらは局所的な炎症反応ですが、EGPAの場合、この局所的な炎症が次第に全身の免疫システムに影響を及ぼし、最終的には小型から中型の血管にまで炎症が広がる全身性の血管炎へと進行すると理解されています。特に、成人になってから喘息を発症したり、喘息の症状が悪化したりした際に、この病気の可能性を念頭に置くことが重要です。アレルギー性の背景は、この病気が単なる自己免疫の異常だけでなく、環境要因やアレルギー反応の過剰応答も発症に関与していることを示唆しており、治療においてもアレルギー反応を抑えるアプローチが重要となる理由の一つです。
多発血管炎性肉芽腫症の補完療法:鍼灸・指圧マッサージ
好酸球性副鼻腔炎の治療中に発症することがある
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の発症プロセスにおいて、好酸球性副鼻腔炎は極めて重要な中間病態として認識されています。好酸球性副鼻腔炎は、通常の細菌やウイルスが原因の副鼻腔炎(蓄膿症)とは異なり、主に好酸球が副鼻腔内に異常に集積し、慢性の炎症や鼻ポリープ(鼻茸)を形成する難治性の病気です。この疾患の患者さんの中には、この副鼻腔炎の治療中や管理中に、突如として全身性の症状が出現し、EGPAと診断されるケースが少なくありません。これは、副鼻腔炎の治療に用いられる一部の喘息治療薬や吸入ステロイド薬の使用と、それに続く好酸球の動態の変化が関連している可能性が指摘されています。特に、喘息治療薬であるロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)などの使用後に、全身性の血管炎症状が顕在化し、EGPAと診断された症例報告が過去に多数存在します。この現象は、薬剤が喘息症状を抑える一方で、体内の好酸球の動きや浸潤のパターンを変え、潜伏していた血管炎を表面化させた可能性や、薬剤自体が血管炎の発症に関与した可能性を示唆しています。したがって、好酸球性副鼻腔炎を患っている方が、多発関節痛や発熱、手足のしびれといった全身症状を訴えた場合には、速やかにEGPAへの進展を疑い、専門医の診察を受ける必要があります。
好酸球関連疾患”の一連の流れの中で出現しやすい
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の中でも、好酸球の異常な増加を特徴とする好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、「好酸球関連疾患」の一連の流れの最終段階として出現しやすいという特徴があります。この流れは、単なる複数の病気が合併しているのではなく、一つの疾患の病態が進行し、重症化していく「ワンウェイ病態」として捉えられることがあります。この一連の病態は、一般的に以下のような順序で進行することが知られています。まず、幼少期または成人期に気管支喘息が発症し、アレルギー体質や好酸球の過剰な活動が基礎に作られます。次に、その好酸球の炎症が上気道に広がり、好酸球性副鼻腔炎や好酸球性中耳炎といった局所的な慢性炎症を引き起こします。これらの局所炎症が数年続いた後、好酸球の異常な活動が全身の血管にまで及び、全身性の血管炎(EGPA)へと移行します。この全身性の血管炎の段階では、肺の浸潤影(好酸球性肺炎)や、腎臓、神経、消化管など多臓器にわたる深刻な障害が発生します。この「一連の流れ」の認識は、EGPAの診断において非常に重要であり、現在の症状だけでなく、過去の喘息や鼻炎、中耳炎の病歴を総合的に評価することが、早期診断の鍵となります。そのため、好酸球性副鼻腔炎や難治性の喘息を持つ患者さんにとっては、この全身性の血管炎への移行リスクを理解し、体調の変化に細心の注意を払うことが求められます。
鍼灸治療や指圧マッサージの有効性と注意点
多発血管炎性肉芽腫症(GPA/指定難病44)のような全身性の自己免疫疾患に対して、鍼灸治療や指圧マッサージは、病気そのものを治癒させるための主たる治療法ではありませんが、西洋医学の治療を補完する目的で利用されることがあります。これらの施術に期待される有効性は、主に疾患の活動性や薬剤の副作用に伴う全身症状の緩和と、QOL(生活の質)の向上に焦点を当てています。具体的には、血管炎に伴う多発関節痛や多発神経炎による手足のしびれ、痛みといった症状に対して、鍼やマッサージが局所の血流を改善し、筋肉の緊張を緩めることで、痛みの軽減が期待できます。また、長期にわたる難病との闘病や免疫抑制薬の使用による全身倦怠感や疲労感に対し、自律神経のバランスを整えることで、心身のリラックスを促し、症状を和らげる効果も期待されます。しかし、施術を受ける際には重大な注意点があります。GPAは血管に炎症を伴うため、炎症が強い部位や紫斑(皮下出血)がある場所を強く刺激すると、病状を悪化させるリスクがあります。さらに、治療薬であるステロイドの副作用で骨が脆くなる骨粗鬆症を合併している場合、強い指圧は骨折を招く危険性があるため、必ず主治医の許可を得て、病状を施術者に伝え、決して無理のない、弱い刺激で行うよう依頼することが不可欠です。
豊島区機能回復券と癒しの森指圧鍼灸院での利用
多発血管炎性肉芽腫症(指定難病44)の患者さんが、豊島区の機能回復券(はり・きゅう・マッサージ等)を利用して「癒しの森指圧鍼灸院」で施術を受けることは、いくつかの条件を満たせば可能です。この機能回復券は、豊島区の契約業者(豊島区鍼灸師会会員施設など)で施術が受けられるものであり、難病患者福祉手当を受けているかたが交付対象に含まれています。したがって、GPAの患者さんがこの手当を受給していれば、機能回復券を年12枚(1か月に1枚)交付され、1回の利用につき300円の自己負担で施術を受けることができます。この制度は、難病患者の機能維持と生活の質の向上を公的に支援するものであり、「癒しの森指圧鍼灸院」は契約業者なので利用可能です。ただし、利用に際しては、制度の対象外となる施設入所者や入院中ではないことが条件となります。施術院側も難病患者向けの公的制度の取り扱いがあるということは、一定の理解があることが期待されますが、前述の通りGPAの病態、特に血管炎の活動性やステロイドによる骨粗鬆症のリスクといった具体的な病状を、施術前に詳細に説明し、主治医に確認済みであることを伝えることが、安全かつ効果的な施術を受けるための重要なステップとなります。この制度の活用は、経済的な負担を軽減しながら、補完的なケアを受けるための有用な手段の一つとなります。
*池袋東口:癒しの森指圧鍼灸院で機能回復券をご利用の方はこちらのページをご覧ください
膠原病は四毒抜き(小麦・植物油脂・乳製品・甘い物)が予防・治療に重要
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は膠原病領域に分類される全身性炎症性疾患であり、その発症や悪化には免疫の異常が深く関わっています。この免疫の異常、すなわち体内の過剰な炎症を抑えるという観点から、西洋医学の薬物療法とは別に、食生活の見直しが予防や治療の補助として重要であるという考え方があります。特に、自己免疫疾患や炎症性疾患を持つ人々が体内で「毒素」として認識し、炎症反応を強める可能性があるとされる食品群を避ける「四毒抜き」というアプローチが提唱されることがあります。この「四毒」とは、主に小麦(グルテン)、植物油脂(リノール酸やアルデヒドなど)、乳製品(カゼイン)、そして甘い物(精製された糖質)を指します。例えば、小麦に含まれるグルテンや乳製品に含まれるカゼインは、腸の粘膜に作用し、「リーキーガット(腸管壁浸漏)」を引き起こすことで、未消化のタンパク質が体内に侵入し、これが自己免疫反応や炎症(TNF-αなど)を悪化させる可能性が指摘されています。また、大豆油やコーン油などの植物油脂に多く含まれるオメガ6系脂肪酸は、過剰摂取によって体内で炎症性の物質を生成しやすくし、血管炎などの炎症性病態を増悪させる可能性があります。これらの食品を排除または大幅に制限することは、体内の炎症レベルを下げ、薬物療法の効果を高めるための土台作りの一つとして、補完的な役割を果たす可能性があると多くの研究者や専門家が主張しています。
難病の多発血管炎性肉芽腫症に対する鍼灸・指圧・マッサージの基礎知識
- 多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は、以前ウェゲナー肉芽腫症と呼ばれた国の指定難病である
- 病態は、鼻、肺、腎臓を中心に小型血管の炎症(血管炎)と肉芽腫の形成を特徴とする全身性疾患である
- 膠原病およびANCA関連血管炎の一つに分類され、免疫の異常が原因と考えられている
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、旧チャーグ・ストラウス症候群)もANCA関連血管炎に含まれる
- EGPAは喘息やアレルギー性鼻炎を背景に持つことが多く、好酸球が著しく増加する
- 好酸球性副鼻腔炎や中耳炎といった局所炎症を経て全身性の血管炎に移行する「ワンウェイ病態」の可能性がある
- 原因は不明とされているが、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)などの薬剤との関連が報告されている
- 治療薬にはステロイド、シクロホスファミド、リツキシマブ、アバコパンなどの免疫抑制薬が用いられる
- 鍼灸治療や指圧マッサージは、病気そのものを治す主たる治療法ではない
- これらの補完療法は、全身倦怠感や関節痛、神経炎といった症状の緩和やQOL向上に期待される
- 施術時は、血管炎の部位やステロイドによる骨粗鬆症のリスクから、強い刺激を避けるなど細心の注意が必要である
- 豊島区の機能回復券(はり・きゅう・マッサージ等)は、難病患者福祉手当受給者を対象に交付される
- 豊島区在住のGPA患者は、契約治療院(例:癒しの森指圧鍼灸院)で機能回復券を利用できる
- 治療の補助として、膠原病の炎症を悪化させる可能性のある小麦、植物油脂、乳製品、甘い物といった「四毒」を避ける食養生も重要視されている
- 施術利用の際は、安全のため必ず主治医の許可と指導のもとで行うべきである
