紫斑病性腎炎と鍼灸・指圧マッサージ:四毒・薬・自律神経の関係を解説

紫斑病性腎炎と鍼灸

このページでは、紫斑病性腎炎と鍼灸・指圧マッサージによるアプローチを検討されている方へ向けて、その可能性と注意点を総括的に解説いたします。まず、紫斑病性腎炎とはどんな病気か?国の指定難病とその原因から、現在の標準治療の基本方針と予後についての医学的な基礎知識をしっかりとご理解いただきます。

その上で、薬物治療に関する情報として、紫斑病性腎炎(血管炎)の記載がある可能性のある薬剤の主な分類や、ワ〇チンと紫斑病の関係性についての注意点にも触れます。また、代替療法を考える上で重要となるのが、生活習慣や体質です。安保理論に基づく関連性の考察:自律神経と顆粒球比率や、食事と炎症の関係に焦点を当てた四毒(小麦、植物油、牛乳乳製品、甘い物)の摂取と炎症のリスクについても深掘りします。特に、小麦グルテン、セリアック病と紫斑病性腎炎(IgAN/IgAVN)の関連、酸化ストレスと紫斑病性腎炎の病態を考える視点、高血糖と腎臓への影響(間接的な関連)、そして牛乳・乳製品の主要成分と腎炎の関連についても具体的な情報を提供します。

そして、本題である紫斑病性腎炎と鍼灸・指圧マッサージ:代替療法の効果と利用方法については、鍼灸治療による期待される効果と安全性、指圧マッサージによる間接的な効果と禁忌を解説し、安全に施術を受けるための注意点をお伝えします。最後に、地域にお住まいの方へ向けて豊島区機能回復券の利用について:難病患者の対象と当院の確認という行政的な情報も併せてご紹介し、記事全体の紫斑病性腎炎における鍼灸・指圧マッサージの可能性と注意点の総括をまとめます。

この記事のポイント

  • 紫斑病性腎炎(指定難病)の原因、症状、標準治療の基本的な知識
  • 鍼灸・指圧マッサージが病態に与え得る間接的な効果、利用時の具体的な禁忌と安全性
  • 薬剤(抗生物質、NSAIDsなど)、ワ〇チン、食事(グルテン、油、甘い物など)といった生活関連因子と病態の関連性についての考察
  • 豊島区の機能回復券(鍼灸・マッサージ)の利用対象と当院(癒しの森指圧鍼灸院)での利用可否
目次

紫斑病性腎炎と鍼灸・指圧マッサージ:原因と治療の基礎知識

紫斑病性腎炎と診断された女性

紫斑病性腎炎とは?国の指定難病とその原因

紫斑病性腎炎(しはんびょうせいじんえん)とは、IgA血管炎という全身性の血管の炎症に伴って発症する腎臓の病気です。以前は「ヘノッホ・シェーライン紫斑病(Henoch-Schönlein Purpura)」と呼ばれていましたが、現在は病態の本質である免疫グロブリンIgAに着目し、IgA血管炎という名称に変わりました。この病気は、日本において指定難病224として認定されています。この病気の原因は、体内の小さな血管、特に毛細血管の壁にIgA(免疫グロブリンA)という抗体の一種が沈着してしまうことにあります。本来、IgAは粘膜などで感染防御の役割を担っています。しかし、紫斑病性腎炎では、構造に異常をきたしたIgAを含む免疫複合体が作られ、これが腎臓の糸球体を含む全身の血管に沈着し、炎症を引き起こしてしまうのです。このIgAの異常については、IgA1分子の糖鎖構造に不全があることが、IgA腎症と同様に指摘されています。発症のきっかけについては、多くは秋から冬にかけての季節に発症し、上気道感染症(風邪など)が先行するケースが多いため、何らかの感染症が引き金になっていることが強く疑われていますが、正確な病因はまだ明らかにされていません。これを理解した上で、IgA血管炎の約50パーセントに腎炎が合併することが示されており、皮膚には必ず、紫紅色から暗紫褐色の点状または斑状の皮下出血である紫斑が出現します。

標準治療の基本方針と予後について

紫斑病性腎炎の標準治療は、腎臓の炎症と機能低下を防ぐことを最優先に進められます。まず、病気の初期には安静を保つことが基本です。そして、腎臓の障害が軽度(血尿のみ、または軽微な蛋白尿のみ)であれば、定期的な検尿を行いながら経過観察となることが多くあります。しかし、血尿に加えて中等度以上の蛋白尿が出ている場合や、腎機能が低下している場合は、詳細な診断と治療方針の決定のために腎生検が行われます。腎生検による組織学的な重症度に応じて、治療の強度が決定されるのです。主に用いられる治療薬は、強力な抗炎症作用を持つ副腎皮質ステロイド薬や、免疫抑制薬です。近年では、IgA腎症の治療として有効性が報告されている扁桃摘出術とステロイドパルス療法を組み合わせた治療法(扁摘パルス療法)が、紫斑病性腎炎にも有効であることが報告されており、重症度によってはこの治療が選択されることもあります。予後について、IgA血管炎自体は数週間で自然寛解することが多いのですが、腎炎の予後は異なります。特に成人で発症した場合や、腎生検の組織所見で重症であると判断された場合は、腎炎が進行しやすく、最悪の場合、透析や腎臓移植が必要となる末期腎不全へと移行するリスクがあります。

紫斑病性腎炎(血管炎)の記載がある可能性のある薬剤の主な分類

いくら適切な治療を受けている紫斑病性腎炎であっても、特定の薬剤の服用によって血管炎や紫斑が誘発される可能性があります。日本の医薬品の添付文書には、因果関係が完全には否定できない副作用の症例が個別に記載されるため、特定の成分名をすべて網羅するのは困難です。しかし、一般的に血管炎や薬剤性過敏症を引き起こす可能性が指摘されている薬物群があります。その中の一つに、感染症治療に使われる抗生物質が挙げられます。例えば、ペニシリン系やセフェム系などの抗生物質は、過敏症反応の一部として血管炎や紫斑を発症した報告があります。そしてもう一つは、広く使用されている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)です。一部のNSAIDsでもアレルギー性の血管炎を誘発する可能性が添付文書に記載されていることがあります。他にも、抗てんかん薬の一部は、重篤な薬剤性過敏症症候群(DIHS)の一部として血管炎を伴うことが知られています。近年、特に注意が必要なのが、生物学的製剤や免疫チェックポイント阻害薬です。これらは、免疫系の働きを大きく変える薬であるため、自己免疫現象を増強する作用によって、血管炎を含む新たな自己免疫疾患を誘発するリスクが添付文書に明記されている場合があります。これらの薬を服用する際は、必ず医師や薬剤師と相談し、添付文書の「重大な副作用」を確認することが重要です。

ワ〇チンと紫斑病の関係性についての注意点

ワ〇チン接種後に紫斑病が発症するケースは、非常にまれであるものの、関係性が完全に否定されているわけではありません。ここでいう紫斑病は、IgA血管炎(紫斑病性腎炎の原因)だけでなく、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を含む様々なタイプの紫斑病を指します。ワ〇チンの添付文書には、接種後の副作用として血小板減少性紫斑病や、まれに血管炎に関する注意喚起が記載されることがあるのです。ただ、このワ〇チン接種後の紫斑病の発症は、IgA血管炎の主要な病態であるIgA免疫複合体の沈着によるものではなく、多くの場合、ワ〇チンに対する免疫応答が自己の血小板を破壊してしまうという異なるメカニズムで発生します。例えば、麻疹・風疹・ムンプス(MMR)ワ〇チンやインフルエンザワ〇チンなどで、血小板減少性紫斑病の報告は知られています。しかし、多くのワ〇チンは公衆衛生上のメリットが、ごくまれに起こる副作用のリスクを大きく上回ります。そのため、接種を完全に避けるのではなく、特に過去に自己免疫疾患や血小板減少の既往がある方は、接種前に必ず主治医に相談することが重要です。接種後に紫斑や出血傾向が出た場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。これらの理由から、ワ〇チン接種の判断は、疾患のリスクと感染症予防のメリットを天秤にかけ、個別に行われるべきです。

安保理論に基づく関連性の考察:自律神経と顆粒球比率

安保徹先生が提唱された免疫学的な理論は、紫斑病性腎炎の発症や病態を自律神経のバランスと白血球の比率という観点から捉えるユニークな視点を提供しています。安保理論では、過度なストレス(悩みすぎ、働きすぎ、薬の飲みすぎ)が自律神経のバランスを崩し、交感神経を優位にさせることが病気の根本原因の一つであると考えます。交感神経が優位な状態が長く続くと、血液中の白血球のうち、主に細菌と戦う顆粒球が異常に増加し、ウイルスや癌細胞と戦うリンパ球が相対的に減少します。その結果、顆粒球とリンパ球の比率(N/L比)が高くなるのです。顆粒球は体内で炎症性物質を放出しやすいため、この顆粒球の過剰な状態が、紫斑病性腎炎のような全身の血管に炎症を引き起こす一因となる可能性が示唆されます。一方、リンパ球が減少し免疫全体のバランスが崩れることで、異常なIgA免疫複合体が作られやすくなるという、自己免疫的な異常を誘発する可能性も考えられます。もちろん、この安保理論は標準的な医学界において主流の学説とは見なされていません。しかし、ストレス管理や休養といった生活習慣の改善が、自律神経のバランスを整え、間接的に免疫系の安定に寄与するという考え方は、慢性的な炎症性疾患である紫斑病性腎炎の補助的な管理法として参考になる側面があるといえるでしょう。

四毒(小麦、植物油、牛乳乳製品、甘い物)の摂取と炎症

前述の通り、紫斑病性腎炎は腸管免疫の異常が関与する可能性が指摘されているため、特定の食品が病態に影響を及ぼすかどうかが注目されます。ここでは、炎症性疾患との関連が指摘されることの多い「四毒」と呼ばれる食品群について、紫斑病性腎炎との関連を考察します。小麦グルテンは、セリアック病患者においては腸管バリアを破壊する作用があり、リーキーガット(腸管透過性亢進)を引き起こすことで、異常なIgAの産生を促す可能性が理論的に指摘されています。植物性油脂、特に加熱により生成される過酸化脂質やトランス脂肪酸は、全身の酸化ストレスと炎症反応を増強することが知られており、血管炎の病態を間接的に悪化させるリスクが懸念されます。牛乳・乳製品に含まれるカゼインや、乳糖不耐症がある場合の腸管への影響も、IgA関連疾患の病態に関わる可能性が一部で指摘されています。最後に、甘い物(ブドウ糖)の過剰摂取は、糖尿病でない場合でも血糖値の急激な上昇を招き、血管に負担をかけたり、炎症を促したりすることで、腎炎の悪化因子となり得るのです。これらはあくまで間接的な影響や懸念であり、これらの食品を制限することが紫斑病性腎炎の標準治療となるわけではありません。しかし、腎臓と血管の炎症を抑えるためには、高炎症性の食品を避け、抗酸化物質を多く含む食事を心がけることが、生活習慣の観点から推奨されます。


紫斑病性腎炎と鍼灸・指圧マッサージ:代替療法の効果と利用方法

鍼灸治療による期待される効果と安全性

紫斑病性腎炎は、IgA血管炎という血管の炎症が関わる疾患であるため、炎症を制御し、免疫系のバランスを整えることが管理上重要です。鍼灸治療は、西洋医学における標準治療の代わりにはなりませんが、それを補完する代替医療として、間接的な効果が期待されます。主に、古くから東洋医学で重視されてきた血流や気の流れを改善する作用、そして自律神経の調整作用によって効果を発揮すると考えられています。多くの研究で、鍼灸刺激がストレスホルモンの放出を抑え、副交感神経を優位にすることで、全身のリラックス効果をもたらすことが示されています。これが、自律神経の乱れからくる免疫系の過剰な興奮や炎症反応を、穏やかに鎮静化させる手助けとなるのです。また、特定のツボを刺激することで、腎臓への局所的な血流を改善し、腎臓組織の負担軽減や、自己回復力のサポートが期待できるという見解もあります。ただし、安全性の確保は最も重要です。紫斑病の症状が強く出ている急性期や、血小板が減少して出血傾向がある場合は、鍼の刺激によって新たな皮下出血や内出血を引き起こすリスクがあります。そのため、鍼灸治療を開始する前には、必ず主治医(腎臓専門医)に相談し、現在の病状を施術者に正確に伝え、強い刺激を避けてもらうなどの配慮が必要不可欠です。

指圧マッサージによる間接的な効果と禁忌

指圧やマッサージは、紫斑病性腎炎という病気の原因そのものに作用して治癒させる治療法ではありません。しかし、患者さんの全身的な疲労やこわばり、そして精神的なストレスを軽減し、生活の質(QOL)を向上させるという点で間接的なメリットがあります。この施術は、筋肉の緊張を緩め、血流やリンパ液の循環を促進することに優れています。この作用により、全身の老廃物の排出が促されたり、血管炎や腎炎の管理に不可欠な自律神経の安定に貢献したりするのです。特に慢性疾患の患者さんは、不安や不調によって自律神経が乱れやすいため、心地よいマッサージによる鎮静作用は大きな利点です。一方で、マッサージには強い禁忌(施術を避けるべき状態)があります。最も注意すべきは、紫斑病の活動期に強い指圧や揉み込みを行うことです。紫斑病では血管が非常にもろくなっているため、強い刺激を加えると、紫斑の悪化や、新たな出血を引き起こす危険性があります。そのため、症状が活動的であるときや、出血傾向が認められる場合は、マッサージは原則として避けるべきです。施術を希望する場合は、必ず主治医の許可を得たうえで、施術者には病名を伝え、紫斑の出ていない部位に、ごく軽擦(優しくさする)程度の弱い刺激で行ってもらうよう依頼してください。

小麦グルテン、セリアック病と紫斑病性腎炎(IgAN/IgAVN)の関連

IgA腎症(IgAN)および紫斑病性腎炎(IgAVN)は、どちらもIgAという免疫グロブリンが腎臓に沈着するという共通の病態を持つため、腸管免疫の異常が発症に関与している可能性が強く指摘されています。この文脈で特に注目されるのが、小麦に含まれるグルテンと、それに対する免疫反応です。グルテン不耐症の最たる例がセリアック病ですが、セリアック病患者は、グルテンに対する免疫反応によって小腸の粘膜が損傷し、腸管透過性が亢進する状態(リーキーガット)を引き起こします。腸管のバリア機能が低下すると、未消化の食物や毒素などが体内に侵入しやすくなり、これが異常なIgAの産生を刺激するのではないかという仮説が立てられています。実際、セリアック病と診断された患者に、IgA腎症やIgA血管炎が合併するケースが報告されており、関連性が示唆されています。ただし、紫斑病性腎炎の患者全員がグルテンを制限すべきかどうかは、標準的な治療指針では明確にされていません。そのため、グルテンを含む食品を避けることで腎炎が改善するという一般論はまだ確立されていません。しかし、小麦を摂取した後に腹痛や消化器症状の悪化が見られる場合や、腸管免疫の関与が疑われる場合は、医師と相談しながら、グルテンフリーの食事を試すことが、体調管理の一環として検討されることがあります。

酸化ストレスと紫斑病性腎炎の病態を考える

酸化ストレスとは、体内で活性酸素種(フリーラジカル)の生成と、それらを無害化する抗酸化防御システムのバランスが崩れ、活性酸素種が過剰になった状態を指します。この過剰な活性酸素種は、細胞の脂質、タンパク質、DNAなどを攻撃し、組織にダメージを与えてしまうのです。紫斑病性腎炎は血管の炎症が主体の疾患であり、この炎症の過程において、多量の活性酸素種が発生することが知られています。このように考えると、酸化ストレスは紫斑病性腎炎の病態を間接的に悪化させる大きな要因となる可能性が指摘されています。特に問題となるのが、植物性油脂の過剰摂取や加熱による劣化で生じる過酸化脂質です。過酸化脂質はさらに分解されて、反応性の高いアルデヒド類(例:マロンジアルデヒド)を生成します。これには、腎臓の細胞に直接毒性を持つだけでなく、タンパク質と結合することで異常な抗原を作り出し、免疫反応をさらに誘発してしまう危険性があるのです。このため、腎臓を守るためには、抗酸化作用を持つ食品(野菜や果物)の摂取を増やし、酸化しやすい油脂(古くなった揚げ油など)の摂取を控えることが、全身の炎症と酸化ストレスを軽減する上で、非常に重要な生活習慣の工夫であると言えるでしょう。

高血糖と腎臓への影響(間接的な関連)

ブドウ糖を過剰に摂取することや、糖尿病などによって血糖値が高い状態が持続することは、紫斑病性腎炎という疾患に特有の悪影響を与えるわけではありません。むしろ、これはすべての腎臓病にとって共通の、そして最も重要な悪化因子の一つであると認識されています。腎臓には、血液をろ過するための糸球体という非常に細い血管が密集した部分があります。高血糖が続くと、この細小血管に余分な糖が結合し、血管の内皮細胞が損傷を受けたり、血管壁が厚くなったり硬くなったりする動脈硬化が進行してしまうのです。紫斑病性腎炎では、すでに免疫複合体の沈着によって糸球体に炎症が起きているため、そこに高血糖によるさらなる血管の損傷が重なると、腎機能の低下が著しく加速されてしまう可能性があります。また、血糖値が高い状態は、腎臓に余分な糖を排出しようとして糸球体を過剰に働かせてしまいます。こうして、炎症で疲弊している腎臓にさらなるろ過の負担がかかるため、腎機能の予後を悪化させる一因となるのです。このように、直接的な原因ではなくとも、腎臓病の管理においては、糖尿病の有無にかかわらず、過剰な甘い物や糖質の摂取を控え、血糖値を適切にコントロールすることが極めて重要です。

牛乳・乳製品の主要成分と腎炎の関連

牛乳や乳製品は、良質なタンパク質やカルシウムの供給源であり、多くの人にとって健康維持に欠かせない食品です。しかし、紫斑病性腎炎(IgA腎症を含む)の病態が腸管免疫の異常と深く関連していることから、牛乳・乳製品の特定の成分が影響を及ぼす可能性について議論がなされています。その中の一つに、牛乳に含まれるタンパク質のカゼインがあります。一部の研究では、このカゼインに対する過剰な免疫応答が、腎臓への異常なIgAの沈着を促すのではないかという仮説が立てられています。また、乳糖不耐症を持つ方が乳製品を摂取した場合、消化不良が起こり、腸内環境の悪化や炎症反応を引き起こすことで、間接的に免疫系を乱す可能性も考えられます。そしてもう一つは、牛乳脂肪に含まれるアラキドン酸などのオメガ-6脂肪酸です。アラキドン酸は体内で炎症を促進する物質(プロスタグランジンなど)の原料となるため、過剰な摂取は全身の炎症反応を増強し、血管炎の病態を悪化させるリスクが懸念されます。ただし、これらはすべて理論的な可能性や一部の症例報告に基づくものであり、一般的にすべての紫斑病性腎炎患者が牛乳・乳製品を制限すべきという標準的なエビデンスはありません。もし摂取後に体調の悪化を感じる場合は、栄養の偏りを避けるためにも、自己判断で制限せず、必ず医師や管理栄養士に相談して適切な指導を受けてください。

豊島区機能回復券の利用について:難病患者の対象と当院の確認

豊島区が区民の方に交付している機能回復券(はり・きゅう・マッサージ等)は、指定された条件を満たす方が、鍼灸や指圧マッサージの施術費用の一部助成を受けることができる制度です。この受術券の交付対象となる条件の一つに、「難病患者福祉手当を受けているかた」という規定があります。

紫斑病性腎炎は指定難病224号として認定されているため、あなたがこの疾患により豊島区から難病患者福祉手当を受給されている場合は、この機能回復券の交付対象となります。この制度の大きなメリットは、1回の利用につき300円の自己負担のみで、鍼灸やマッサージなどの施術を年間12回まで受けられる点にあります。これは、日々の体調管理やリラクゼーション、ストレス軽減を図る上で、非常に大きな助けとなるでしょう。

当院(癒しの森指圧鍼灸院)でのご利用について、この券は豊島区と契約している施術所でのみ利用可能です。当院は、この豊島区の機能回復券を取り扱っておりますので、交付を受けられた際には、ぜひご利用をご検討ください。

ただし、繰り返しますが、この券を利用できることと、医学的に施術を受けて安全であることは別の問題です。施術を受ける際は、必ず主治医の許可を得てください。その上で、来院時には紫斑病性腎炎であること、現在の紫斑の状況や出血傾向の有無などを必ず施術者にご説明いただき、安全を最優先とした施術内容(強い刺激を避けるなど)を相談しながら進めてまいります。

*池袋東口:癒しの森指圧鍼灸院で機能回復券をご利用の方はこちらのページをご覧ください

紫斑病性腎炎における鍼灸・指圧マッサージの可能性と注意点の総括

  • 紫斑病性腎炎はIgA血管炎に伴う腎炎であり、指定難病224号に認定されている
  • 原因は、IgA免疫複合体が腎臓の毛細血管に沈着し炎症を引き起こすことである
  • 病態の約50%に腎炎が合併し、皮膚に必ず紫斑が出現する
  • 標準治療は安静と、腎生検の結果に応じた副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬による薬物療法が基本となる
  • 成人発症や重症組織所見がある場合、末期腎不全へ移行するリスクがある
  • 特定の抗生物質、NSAIDs、生物学的製剤などは血管炎を誘発する可能性がある
  • ワ〇チン接種後の紫斑病発症はまれだが、IgA血管炎とは機序が異なることが多く、個別判断が必要である
  • 安保理論では、ストレスによる自律神経の乱れ(交感神経優位)が顆粒球増加を招き、炎症に関与する可能性を示唆する
  • 小麦グルテンはセリアック病患者において腸管バリアを破壊し、IgA産生に間接的に影響を与える懸念がある
  • 過酸化脂質やトランス脂肪酸は全身の酸化ストレスと炎症を増強し、血管炎を悪化させるリスクがある
  • 高血糖は腎臓の細小血管に損傷を与え、腎炎の進行を加速させる共通の悪化因子である
  • 牛乳・乳製品に含まれるカゼインやアラキドン酸も、炎症や免疫応答に影響する可能性が一部で指摘されている
  • 鍼灸治療は、自律神経の調整や血流改善を通じて、標準治療を補完する効果が期待される
  • 指圧マッサージは、全身の疲労やストレスを軽減し、QOLを向上させる間接的なメリットがある
  • 鍼灸や指圧は、紫斑の悪化や出血リスクがある急性期や出血傾向時には禁忌または強い注意が必要であり、必ず主治医の許可を得ること
  • 豊島区の機能回復券は、紫斑病性腎炎患者(難病手当受給者)が利用可能であり、筆者の施術所でも取り扱いがある
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