多発性硬化症の痛みと疲労を緩和：鍼灸指圧マッサージの活用法

2025年11月15日2025年11月24日

多発性硬化症（MS）と診断された方、あるいはそのご家族で、現在の治療に加えて多発性硬化症鍼灸指圧マッサージといった補完的なケアが有効かどうかお調べになっている方も多いでしょう。MSは脳や脊髄の中枢神経系で脱髄が起こる疾患であり、その多発性硬化症の基本的な特徴と病態は、重度の倦怠感や痙性、麻痺など、日常生活に大きな影響を及ぼします。また、近年では類似・関連疾患とその分類の経緯が明らかになりつつありますが、医学界では未だにその発症の原因が「原因不明」とされています。

しかし、本記事では医学界で「原因不明」とされる発症の原因を深掘りし、ワクチンによる発症の可能性と医原病の視点、さらにはモノクローナル抗体製剤による発症の可能性といった、薬剤が関わるメカニズムに焦点を当てます。また、食事因子と脱髄疾患の関連性は無視できず、小麦グルテン、TNF-α、炎症の連鎖を断つこと、そして髄鞘破壊に関わる植物性油脂のアルデヒドを避けることが、悪化防止の鍵となります。

記事の後半では、吉野敏明先生が提唱する四毒抜きで悪化防止を目指す具体的な食生活のヒントを提供するとともに、病気が確定した後でも症状緩和に役立つ鍼灸・マッサージの期待される効果について解説します。さらに、特に豊島区にお住まいの方に向けて、豊島区機能回復券の活用方法という具体的な公的支援についてもご案内します。現在の症状を少しでも緩和し、生活の質を高めるためのヒントを、ぜひ最後までご覧ください。

視覚障害者の方向け音声ファイル

この記事のポイント

鍼灸・マッサージがMSの症状緩和に期待できる具体的な効果：特に疲労感や痙性、疼痛の緩和における役割
MS発症の背景にある医原病と食事因子：薬剤（ワクチン・抗体製剤）やグルテン、加工油が脱髄を招くメカニズム
吉野敏明先生の「四毒抜き」による悪化防止策：炎症の鍵となるTNF-αを抑えるための具体的な食生活戦略
豊島区の機能回復券という公的支援制度：難病指定患者が出張治療を含む鍼灸・マッサージを助成で受けるための利用方法

多発性硬化症（MS）の症状緩和に鍼灸指圧マッサージは有効か

多発性硬化症（MS）の基本的な特徴と病態

多発性硬化症（Multiple Sclerosis、MS）は、脳、脊髄、視神経といった中枢神経系のあちこちで炎症が起こり、神経の伝達を妨げる「脱髄疾患」に分類される病気です。神経線維は、電気信号の漏れを防ぎ、伝達速度を速めるために「ミエリン鞘（ずいしょう）」という絶縁体のような組織に覆われています。MSでは、免疫システムがこのミエリン鞘を誤って攻撃し破壊してしまうため（脱髄）、神経信号の伝達速度が著しく低下したり、途切れたりします。この障害が起こる場所や範囲によって症状は千差万別であり、一人の患者様であっても、再発のたびに異なる症状が現れるのが特徴です。具体的な症状としては、手足のしびれや痛みといった感覚障害、筋力低下や麻痺、歩行困難といった運動障害、さらには視力低下や複視（ものが二重に見える）などの視覚障害がよく見られます。また、MSの患者様が訴える最も一般的な症状の一つに、通常の疲労とは比較にならないほどの重い倦怠感があります。MSは国の定める指定難病（13番）であり、進行は再発と寛解を繰り返すパターンが多いですが、徐々に神経障害が蓄積していくため、早期の診断と治療、そして生活習慣の見直しが極めて重要とされています。女性に多く、30～50歳代で発症のピークを迎える傾向が確認されています。

類似・関連疾患とその分類の経緯

多発性硬化症の診断を複雑にしているのが、症状が非常に似ている「類似・関連疾患」の存在です。特に、かつてはMSの一種と見なされていた視神経脊髄炎（NMOSD）と、近年になって分類されたMOG抗体関連疾患が挙げられます。以前、NMOSDはMSの視神経脊髄型として扱われていましたが、2004年に特定の自己抗体である「抗アクアポリン4抗体」が発見されたことで、NMOSDがMSとは異なる独自の病態を持つことが科学的に証明され、独立した疾患として分類されることになりました。NMOSDはMSに比べて視神経や脊髄に重度の炎症を引き起こす傾向があり、特に再発時に重篤な後遺症を残しやすいという特徴があります。さらにMOG抗体関連疾患も、ミエリン・オリゴデンドロサイト糖タンパク質（MOG）に対する自己抗体が関与する疾患として、この脱髄性疾患のグループに新たに加えられました。このように、医学研究の進展によりMSの傘下にあった病気が次々と分類・細分化されていますが、注意すべき点として、厚生労働省の指定難病制度においては、現在もMSとNMOSDが同一の疾患番号（13番）として括られています。これらの疾患を正確に区別することは、それぞれの病態に合わせた適切な治療戦略を選択する上で不可欠です。

鍼灸・マッサージの期待される効果

多発性硬化症の治療は、再発予防や進行抑制を目指す西洋医学の薬物療法が中心となりますが、鍼灸や指圧マッサージは、症状の緩和と生活の質（QOL）の維持・向上を目的とした補完代替医療として一定の役割が期待されています。MSの患者様が日常的に抱える重い疲労感（倦怠感）、筋肉の強いこわばりや引きつり（痙性）、そしてしびれや痛みといった感覚異常に対して、鍼灸・マッサージは効果を発揮する可能性があります。具体的には、鍼治療が持つ自律神経系のバランスを調整する作用や、マッサージによる血行促進、筋肉の緊張緩和を通じて、これらの不快な症状を和らげます。特に重度の疲労感に関しては、海外の研究においても鍼治療が疲労レベルを軽減させる効果を持つ可能性が示唆されており、体力の消耗が激しい患者様にとって大きな助けとなり得ます。また、定期的な施術は関節の可動域を維持し、硬くなった筋肉を柔軟に保つことで、歩行機能の維持や日常生活動作（ADL）のサポートにもつながります。治療効果は個人差がありますが、心身のリラックスを促すことで精神的な負担を軽減する効果も大きく、西洋医学的な治療と並行して取り入れることで相乗効果が期待できます。

豊島区機能回復券の活用方法

多発性硬化症（MS）の患者様にとって、症状の悪化や疲労の蓄積を防ぐためには、鍼灸やマッサージによる継続的なケアが非常に重要です。東京都豊島区では、難病患者様の生活支援策として、このケア費用の一部を助成する豊島区機能回復券制度を提供しており、MSもその対象疾患です。この制度を活用する大きな利点は、区から配布される治療院名簿を通じて、出張治療（訪問治療）が可能かどうかを確認しながら、ご自身の体力や症状に合わせて施術所を選べる点にあります。この券の交付は、難病指定を受けている方を対象に、区の福祉課窓口で利用の必要性を問われた上で手続きが行われます。特に重要なのは、豊島区ではこの機能回復券の利用率を毎年算出し、制度の継続是非を判断しているという点です。つまり、この福祉サービスを将来にわたって維持するためには、本当に必要とする患者様が積極的に利用の意思を示すことが不可欠です。病状の現状維持や悪化防止のために鍼灸・マッサージの利用を検討されている方は、ぜひこの機能回復券の申請を行い、制度を有効活用してください。反対に、現在利用の必要がないと判断された方も、制度の維持・向上のために「不要」と明確に伝えていただくことが、行政による公平な予算配分を支えることにつながります。

＊池袋東口：癒しの森指圧鍼灸院で機能回復券をご利用の方はこちらのページをご覧ください

MS発症の真相：薬剤と食事が脱髄を招くメカニズム

医学界で「原因不明」とされる発症の原因

多発性硬化症（MS）は、長らく現代医学において「原因不明」とされてきた疾患です。この「原因不明」という見解は、特定の単一因子（例：特定の細菌感染、単一の遺伝子変異など）が直接的に発症を引き起こしているという決定的な証拠が見つかっていないことに起因しています。多くの研究者が有力な仮説として挙げているのは、遺伝的要因と環境要因の複合的な関与です。遺伝的な体質を持つ人が、ウイルス感染や特定の環境ストレスにさらされることで、免疫システムが暴走し、自己の神経組織（ミエリン鞘）を攻撃し始める、という自己免疫説が主流です。しかし、この「原因不明」の背景には、医原病、すなわち薬剤が引き起こす病態が深く関わっている可能性です。特に、動物実験では特定の化学物質を投与することでMSに類似した脱髄モデルを再現できることが知られており、これが体外から取り込まれる特定の物質が発症の引き金になり得るという視点を裏付けています。従来の「原因不明」という枠組みにとどまらず、ワクチンや他の薬物との関連性を探る視点は、MSの本質的な予防と治療を考える上で、極めて重要な鍵となります。

ワクチンによる発症の可能性と医原病の視点

多発性硬化症の発症に、特定のワクチンが関与している可能性は、代替医療の分野だけでなく、過去の公衆衛生上の事例や一部の論文で議論されてきました。その中でも特に注目されたのがB型肝炎ワクチンです。1990年代にフランスで集団接種キャンペーンが行われた際、その後にMSの発症例が増加したという報告があり、社会的な懸念から一時的に接種が中止された経緯があります。一部の研究では、ワクチン接種後にMS発症リスクが上昇した可能性を示すデータも存在します。この関連性を裏付ける一つの視点として、製薬会社が発行するワクチンの添付文書自体に、多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎（ADEM）などの脱髄疾患が「頻度不明」ながらも重大な副反応として記載されている事実があります。これは、薬剤が中枢神経系に影響を及ぼし、免疫システムを狂わせるリスクを製造元も認識していることを示唆しています。現代医学的な治療行為の結果として病気が引き起こされるという「医原病」の視点からMSを捉え直すことは、原因不明とされてきた疾患の予防戦略を根本から見直す上で不可欠な視点を提供します。

モノクローナル抗体製剤による発症の可能性

脱髄疾患の発症リスクは、ワクチンだけでなく、現代の高度な生物学的製剤、特にモノクローナル抗体製剤の使用においても明確に指摘されています。モノクローナル抗体製剤は、関節リウマチ、炎症性腸疾患（クローン病、潰瘍性大腸炎）、乾癬など、様々な自己免疫疾患の治療に用いられる高分子医薬品です。これらの薬の多くは、体内の特定の炎症性物質（例えば、TNF-α）の働きをピンポイントで阻害することにより、過剰な免疫反応を鎮静化させることを目的としています。しかし、これらの製剤の添付文書を詳細に確認すると、重大な副作用として脱髄疾患（多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎など）が記載されていることがわかります。これは、炎症を抑えるために投与された薬が、その作用機序や予測不能な免疫反応を通じて、逆に中枢神経系の脱髄を引き起こすという矛盾した現象を示しています。この事実は、免疫系のバランスを人工的に操作することの難しさ、そしてMSが単なる「原因不明の自己免疫疾患」ではなく、特定の薬剤曝露が直接的な引き金となり得るという、医原病としての可能性を強く示唆する重要なエビデンスの一つと言えます。

小麦グルテン、TNF-α、炎症の連鎖を断つ

多発性硬化症の予防と悪化防止において、食事と生活習慣の改善は極めて重要な役割を果たします。特に注目すべきは、小麦グルテンと強力な炎症性サイトカインであるTNF-α（腫瘍壊死因子アルファ）の関連性です。グルテンは一部の人において腸壁の透過性を高め（リーキーガット）、そこから未消化の食物や毒素が体内へ侵入することで、全身的な炎症反応を引き起こします。この炎症反応の中心的な役割を担うのがTNF-αであり、これが過剰に産生されると、自己免疫反応を促進し、結果として神経細胞を攻撃する脱髄を悪化させる一因となり得ます。MSの治療ではTNF-αの働きを抑える薬剤が関与しており、この物質を増やさないことが治療の鍵となります。したがって、グルテン（小麦）を除去することは、腸内環境を整え、TNF-αをはじめとする炎症性サイトカインの暴走を抑制するための重要なステップとなります。炎症の連鎖を断ち切り、身体の免疫システムが落ち着きを取り戻す環境を整えることは、未病の方の予防策として、また発病された方の現状維持・悪化防止策として極めて有効な戦略と言えるでしょう。

食事因子と脱髄疾患の関連性

多発性硬化症（MS）を含む脱髄疾患の進行や再発の背景には、薬物などの外部因子だけでなく、日々の食事がもたらす影響が大きく関わっていると考えられています。食事因子が脱髄疾患に作用する主なメカニズムは、腸内環境の乱れとそれに伴う全身的な慢性炎症の亢進です。特に現代型の食生活では、腸のバリア機能に悪影響を及ぼす特定のタンパク質（グルテンやカゼインなど）や、酸化ストレスを強める加工度の高い油脂などが過剰になりがちです。腸のバリアが破綻すると、未消化物や毒素が血流に入り込み、免疫細胞を過剰に刺激します。結果として、炎症性サイトカイン（特にTNF-α）が大量に産生され、これが血液脳関門を通過して中枢神経系の炎症を助長し、ミエリン鞘の破壊を加速させる土壌となります。また、神経細胞の主要な構成要素である脂質の質も重要です。体内で炎症を引き起こしやすい脂質を多く摂取すると、神経組織そのものがダメージを受けやすくなります。つまり、食事は単なるエネルギー源ではなく、免疫システムと神経組織の健全性を左右する重要な情報源であり、脱髄疾患の悪化を防止するためには、抗炎症作用の高い栄養素を選択し、炎症を誘発する因子を徹底して排除する食生活への転換が不可欠です。

髄鞘破壊に関わる植物性油脂のアルデヒド

脱髄疾患の悪化因子として見過ごされがちなのが、日常的に使用される加工油の酸化生成物、特にアルデヒドによる毒性です。植物性油脂の多く、特にリノール酸を大量に含む大豆油、コーン油、紅花油などは、加熱や光、酸素に晒されることで容易に酸化し、ヒドロキシノネナール（HNE）などの有害なアルデヒドや過酸化脂質に変化します。これらのアルデヒド類は、反応性が非常に高く、体内の細胞、特に脂質が豊富なミエリン鞘の構造を構成するタンパク質や脂質に対して直接的なダメージを与えます。ミエリン鞘は脂質が約70%を占めるため、酸化された油脂由来の毒素の影響を特に受けやすいのです。このアルデヒドによる攻撃は、神経細胞の細胞膜の機能を低下させ、慢性的な酸化ストレスを神経系にもたらすことで、ミエリン鞘の修復を妨げ、脱髄の進行を加速させる原因となります。そのため、吉野先生の「四毒抜き」理論では、リノール酸の多い油だけでなく、ココナッツオイルやオリーブオイルであっても、精製されたものはすべて「加工油」として排除することを推奨しています。この理論では、脱髄疾患を予防・悪化防止するためには、油の精製過程で生じる毒性を徹底的に避け、加工食品に含まれるあらゆる質の悪い油脂を断つことが、神経を守る上で極めて重要な対策となります。

吉野敏明先生が提唱する四毒抜きで悪化防止

多発性硬化症（MS）の現状維持と悪化防止を目指す上で、根本的な炎症体質を改善する食事療法として、吉野敏明先生が提唱する「四毒抜き」理論が非常に参考になります。この理論は、現代の食生活に潜む主要な毒素として、小麦（グルテン）、牛乳・乳製品（カゼイン）、植物油（亜麻仁油・オリーブ油含む）、甘い物（砂糖・フルーツ・さつまいもなど）の四つを挙げ、これらを徹底的に排除することを推奨しています。このうち、小麦グルテンと加工油は、先に述べたように脱髄疾患の悪化に関わる強力な因子です。グルテンは腸の炎症を通じて自己免疫を暴走させ、加工油は酸化生成物（アルデヒド）を通じて神経細胞に直接的な毒性をもたらします。これらを抜くことで、MS発症の引き金となるTNF-αの過剰産生と酸化ストレスという二大悪化要因を同時に抑制することが可能となります。未病の方は、この四毒を控える食生活を日頃から心がけることで、炎症体質への移行を防ぐ予防策となります。また、すでにMSと診断された方は、四毒抜きを徹底することで、病気の進行スピードを緩め、再発寛解のサイクルをより良い方向へ導くための悪化防止策として、標準治療を支える強力な基盤を築くことができるでしょう。