シェーグレン症候群の原因究明と鍼灸・指圧・マッサージの役割

シェーグレン症候群の原因究明と鍼灸・指圧・マッサージの役割

シェーグレン症候群とは、中高年女性に圧倒的に多い謎の疾患として知られてきた自己免疫疾患の一つです。その深刻な症状、特にドライマウスとドライアイは、日常生活の質を大きく低下させてしまいます。本記事では、この難病に対する西洋医学的な情報と、東洋医学的なアプローチを統合して解説します。

まず、自己免疫疾患と「四毒」(小麦、植物性油の制限など)の関連性や、シリコン・ワクチンのアジュバント、さらには薬の副作用といったシェーグレン症候群の原因究明に関わる最新の知見に触れます。進行を止めるための食生活の見直しや、唾液分泌を促す大唾液腺マッサージの具体的な方法と効果についても詳しくお伝えします。

そして、この記事の核心である鍼灸・指圧・マッサージの役割について掘り下げます。鍼灸が目指す東洋医学的な全身のアプローチ、局所症状と自律神経への指圧・マッサージ効果、そしてセルフケアと鍼灸治療の併用による相乗効果を解説します。また、豊島区の難病患者向け機能回復券と本疾患の関係にも触れ、この疾患に対する統合的な治療の可能性をご紹介します。

この記事のポイント

  • シェーグレン症候群の根本原因として、食生活の「四毒」(小麦・植物性油)やアジュバント(シリコン・ワクチンなど)の関与が指摘されていること
  • 鍼灸治療は東洋医学的に全身の臓腑機能(肺・脾・腎)や自律神経を整え、体質改善を目指すアプローチであること
  • 指圧やマッサージが唾液腺の物理的な訓練となり、ドライマウスやドライアイといった局所症状の緩和に役立つ具体的な方法があること
  • 西洋医学的治療に加えて、食生活改善やセルフケア、そして鍼灸・マッサージといった補完療法を併用することが、進行抑制とQOL向上に不可欠であること
目次

シェーグレン症候群の治療:鍼灸・指圧・マッサージの役割とは?

シェーグレン症候群で口が乾く女性

シェーグレン症候群とは:中高年女性に多い謎の疾患

シェーグレン症候群とは、主に涙腺や唾液腺といった分泌腺が障害され、乾燥症状が現れる自己免疫疾患の一つです。当初は、スウェーデンの眼科医であるヘンリック・シェーグレン氏が1933年に発表したことから、この名が付けられました。古くからこの病気は原因不明の「謎の疾患」とされてきましたが、その特徴として、中高年の女性に圧倒的に多く発症することが知られています。実際、疫学データを見ると、男女比はおよそ1:17と、男性よりも女性に極めて多いことがわかります。しかし、なぜ女性に多いのか、という点は長年の謎とされてきました。古くから医学界では、遺伝的素因やホルモンの影響などが推測されてきましたが、現代では食生活や環境要因との関連性が強く指摘されるようになっています。

多くは50代に発症のピークを迎えるものの、小児から高齢者まで発症する可能性はあります。また、この疾患は単独で発症する一次性と、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの他の膠原病に合併する二次性に分けられます。古くから、痩せ型で初潮が早い体質の女性に多いといった言説もありましたが、これらの情報だけでは発症の真のメカニズムを解明するには至りませんでした。多くの西洋医学の専門家は今でも原因不明としていますが、体内で過剰に分泌される腫瘍壊死因子(TNF-α)などの液性物質が、本来攻撃すべきではない自身の分泌腺を誤って攻撃してしまうという、自己免疫の異常が病態の核心にあると考えられています。これは、体内に入った異物に対して免疫系が過剰に反応し、その過程で自身を傷つけてしまうという誤作動なのです。

ドライマウスとドライアイの深刻な症状

シェーグレン症候群の最も代表的かつ深刻な症状は、ドライマウス(口腔乾燥)とドライアイ(眼乾燥)です。これらの症状は、涙腺や唾液腺が自己免疫の攻撃により萎縮し、分泌機能が低下することで生じます。ドライアイは、涙の量が減ることで目が乾き、ゴロゴロとした異物感、目の疲れ、充血、ひどい場合には角膜や結膜の障害を引き起こします。また、光に過敏になる羞明(しゅうめい)や、涙腺の炎症による目の周りの腫れを訴える患者さんもいます。

一方、ドライマウスは、唾液の分泌量が激減することで起こります。本来、唾液は食べ物の消化を助けるだけでなく、口腔内の粘膜を保護し、虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑える重要な役割を担っています。しかし、唾液が出なくなると、まず食事の際に食べ物を飲み込みづらくなる(嚥下障害)という問題が生じます。口の中が常に乾くため、水分を頻繁に摂取する必要があり、重症例では30秒に一度水を飲むといった行動が見られます。また、唾液による自浄作用が失われるため、虫歯が多発するという深刻な問題も発生します。特に、年齢を重ねて閉経期を迎えた女性は、エストロゲン減少の影響で唾液量がさらに大きく減ることが知られており、この時期に症状が一気に悪化するケースが多く見られます。これらの乾燥症状は生活の質(QOL)を著しく低下させるため、人工唾液の使用や頻繁な水分補給が対症療法として行われます。

豊島区の難病患者向け機能回復券と本疾患

シェーグレン症候群は、厚生労働省によって難病指定されている疾患の一つです。難病指定を受けることで、患者さんは医療費の助成制度を利用できるほか、自治体によっては独自の支援サービスが提供されることがあります。その中でも、東京都豊島区では、難病指定を受けている患者さんを対象に「機能回復訓練費助成事業」として機能回復券が配布されています。これは、鍼灸(はり・きゅう)やマッサージ、指圧などの治療を受ける際の費用を助成するもので、患者さんのQOL向上を目的としています。

そして、この機能回復券の利用者に多い疾患の一つが、他ならぬシェーグレン症候群なのです。これは、西洋医学的な治療に加えて、東洋医学的なアプローチである鍼灸やマッサージが、この疾患の症状緩和に一定の効果を期待されていることの現れと言えるでしょう。東洋医学の観点では、シェーグレン症候群を単なる局所の乾燥症状として捉えるのではなく、全身の臓腑(特に肺、脾、腎)の機能低下自律神経の乱れが口腔や目に影響を及ぼしていると考えます。したがって、鍼灸治療では、全身の経絡を整え、内臓の機能を補強することに主眼が置かれます。また、唾液腺周辺への指圧やマッサージは、物理的に唾液の分泌を促す訓練(対症療法および訓練)として非常に有効であり、人工唾液に頼りすぎることでかえって分泌腺の機能が低下するのを防ぐ狙いがあります。このように、シェーグレン症候群の治療において、鍼灸やマッサージは補完的な役割として重要な位置を占めており、豊島区の制度はそのニーズの高さを示していると言えるでしょう。

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自己免疫疾患と「四毒」の関連性

シェーグレン症候群を始めとする自己免疫疾患は、医学的には原因不明とされることが多いのですが、その背景には食生活を含む環境要因が深く関わっているという指摘があります。これは、免疫システムの誤作動を引き起こす要因を特定しようという考え方です。特に、一部の専門家からは、現代の食生活に潜む「四毒(しどく)」と呼ばれる物質の過剰摂取が、自己免疫疾患の増加と関連しているという見解が示されています。この「四毒」とは、小麦(グルテン)、植物性油脂、牛乳・乳製品、そして甘いものの四つを指します。これらの食品群の多くは、炎症を強くする作用や、腸内環境を乱す作用を持つと考えられています。

グルテンは腸の透過性を高め、未消化のタンパク質が体内に侵入しやすくなり、免疫系を狂わせる可能性があるのです。また、植物性油脂は、現代の洋菓子や加工食品に多用されており、特にリノール酸などのオメガ6系脂肪酸を過剰に摂取すると、体内で炎症性の物質が生成されやすくなります。言ってしまえば、免疫細胞が誤って自分の組織を攻撃する「引き金」となる環境を、これらの食品が作っているというのです。多くのシェーグレン症候群の患者さんは、クッキーやケーキといった洋菓子を長期間にわたって習慣的に摂取しているケースが多いとされています。もちろん、これらの食品を摂取したからといって誰もが病気になるわけではありませんが、体質や遺伝的素因を持つ人にとっては、発症や病状進行の大きなリスク要因となり得ると考えられます。このため、原因不明と一蹴するのではなく、食生活から根本原因を除去しようというアプローチが重要になります。

進行を止めるための食生活(小麦・植物性油の制限)

シェーグレン症候群の症状の進行を止め、あるいは症状を軽減させるためには、生活習慣、特に食生活の根本的な見直しが不可欠です。前述の通り、自己免疫疾患の発症や悪化に深く関わるとされる「四毒」の中でも、特に小麦(グルテン)と植物性油脂の摂取を徹底的に制限することが推奨されます。小麦に含まれるグルテンは、免疫系を刺激する作用が強いため、パンやパスタ、うどん、洋菓子などの小麦製品は、治癒を目指す段階では一切摂らない覚悟が必要です。ある専門家は、症状の改善には最低でも3ヶ月以上の完全なグルテン断ちが必要であると述べています。

一方で、植物性油脂、特にコーン油や大豆油、サラダ油といったリノール酸を多く含む油は、体内の炎症レベルを高めるため、これも洋菓子類や揚げ物、市販のドレッシングなどを含めて徹底的に避ける必要があります。甘いもの、すなわち砂糖も炎症を強くするため、果物や和菓子も含めて可能な限り避けるべきです。しかし、ただ単にこれらの食品を制限するだけでは不十分で、代わりによく噛む食材を意識的に摂る必要があります。なぜならば、よく噛むという行為そのものが唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促す訓練になるからです。具体的には、パンやふわふわした食べ物ではなく、玄米古代米昆布キノコ類といった、30回から50回程度しっかり咀嚼する必要がある食品を食事に取り入れることが望ましいです。これを継続することで、炎症のリスクを下げると同時に、残された唾液腺の機能を最大限に引き出すことができます。

大唾液腺マッサージの具体的な方法と効果

シェーグレン症候群の乾燥症状に対する対症療法の一つとして、また残存機能の訓練として非常に効果的なのが大唾液腺マッサージです。これは、人工唾液や水分の頻繁な摂取に頼りすぎることで、かえって唾液腺が怠けてしまうのを防ぎ、自力で唾液を分泌させる力を取り戻すことを目的としています。マッサージすべき大唾液腺は、耳下腺、顎下腺、舌下腺の三つです。

まず、顎下腺(がっかせん)と舌下腺(ぜっかせん)へのアプローチです。顎の骨(下顎角)の内側、喉仏に近い柔らかい部分に親指を当てます。そこを骨の内側1cmほどの深さに沈み込ませ、約1秒で1cm程度の速さで前方に向かって押し上げるようにマッサージします。これにより、舌の下にあるワルトン管から唾液がじわっと出てくるのが感じられるはずです。若い人であれば唾液が勢いよく飛び出すこともあります。これを2~3回繰り返すだけでも、口腔内の乾燥が一時的に和らぎます。

次に、耳下腺(じかせん)へのマッサージです。耳の前、頬骨の下のへこんだ部分に、手のひらの親指の付け根のふくらんだ部分(母指球)を当てます。そこを前に向かって「ぎゅっ、ぎゅっ」と圧迫することで、頬の内側にある開口部から唾液が分泌されます。食事の「いただきます」の前にこれらのマッサージを実践し、唾液を出してから食べ始める習慣をつけることが重要です。この訓練を続けることで、唾液腺が刺激され、機能の維持・回復に繋がります。逆に言えば、常に水分で喉を潤していると、唾液腺は「もう出さなくてもいい」と判断し、機能はさらに低下してしまうため、乾燥を感じたらすぐに水を飲むのではなく、まずマッサージで自力での分泌を試みることが大切なのです。

参考YouTubeマッサージの方法/シェーグレン症候群 改善のための食事とマッサージ法〜後編〜

シェーグレン症候群の原因究明と鍼灸・指圧・マッサージ

自己免疫疾患を引き起こすアジュバントとは

自己免疫疾患の真の原因を追求する上で、近年注目されているのがアジュバントという物質です。アジュバントとは、本来は免疫応答を強化し、効果を高めるために意図的に加えられる物質のことです。もともと免疫学の分野で利用されてきた物質ですが、これを体内に取り込んだ後、一部の人において自己免疫現象の引き金となる可能性があることが指摘されています。ここで、アジュバントがどのように自己免疫疾患を引き起こすかという話になります。それは、アジュバントが体内に入ると、異物として認識され、免疫システムを過剰に活性化させてしまうからです。この過剰な活性化の過程で、免疫細胞が自分の体の一部を誤って異物と見なして攻撃し始め、結果としてシェーグレン症候群のような自己免疫疾患を発症させるというメカニズムが考えられています。

このアジュバントによって誘発される自己免疫・炎症性症候群は、ASIA症候群(Autoimmune/Inflammatory Syndrome Induced by Adjuvants)として世界的に定義されています。これは、体内に特定の物質が導入された後に発症する、一連の共通した臨床症状を指します。症状は多岐にわたり、全身の疲労感や関節の痛み、神経系の問題、そして乾燥症状などが含まれます。このため、原因不明とされてきた多くの自己免疫疾患が、実は体内に導入されたアジュバントによって誘発されていたのではないかという新たな視点が生まれています。ここで重要なのは、アジュバント自体は医療や美容の分野で広く使われている物質であるということです。

シリコン・ワクチンのアジュバントとシェーグレン症候群の関係

アジュバントが自己免疫疾患の引き金になるという考えに基づき、特にシェーグレン症候群との関連が指摘されているのが、シリコンワクチンに含まれるアジュバントです。シリコンは、豊胸手術などで体内に挿入されるインプラントの素材として用いられてきました。しかし、1960年代以降、シリコンインプラントを装着した女性たちの中で、シェーグレン症候群を含む自己免疫疾患様の症状を訴える症例が多数報告されています。シリコンが体内で異物として認識され、炎症反応を引き起こすことで、自己免疫応答を誘発し、涙腺や唾液腺といった分泌腺を攻撃させているのではないかというわけです。実際、シリコンインプラント挿入後の女性に、ドライアイやドライマウスといったシェーグレン症候群の症状が見られるという論文は複数存在します。

そしてもう一つは、ワクチンに含まれるアジュバントです。多くのワクチンには、免疫効果を高めるためにアルミニウム化合物などのアジュバントが添加されています。これらの物質が、特定の体質を持つ人の免疫システムに過度な刺激を与え、自己免疫疾患の発症を引き起こす可能性が指摘されているのです。特に、シェーグレン症候群の病態である、非ヒストン核タンパク質に対する自己抗体の存在は、メッセンジャーRNA(mRNA)などの物質が細胞内のDNA構造に関わる部分にまで作用し、免疫系を刺激するメカニズムとも関連づけられています。もちろん、因果関係は確立されていないとされていますが、一部の学会や論文では、特定のワクチン接種後にシェーグレン症候群が発症した症例が報告されており、原因不明の疾患としてではなく、体内に導入された異物への反応として捉えるべきだという意見もあります。

薬の副作用でシェーグレン症候群が発症する可能性

シェーグレン症候群の発症リスクは、食生活や体内に導入された異物だけでなく、特定の医薬品の副作用によっても高まる可能性があります。多くの医薬品は、期待される効果の裏側で、望ましくない副作用を引き起こすリスクを持っています。その中には、自己免疫疾患を誘発したり、シェーグレン症候群と同様の乾燥症状を引き起こしたりするものも含まれます。例えば、悪性腫瘍の治療に用いられる一部の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬は、その作用機序の特性上、免疫システムを強力に活性化させるため、自己免疫関連の副作用を引き起こすことが添付文書にも明記されています。

具体的な例として、抗悪性腫瘍剤の中には、副作用の項目に「シェーグレン症候群」という病名がはっきりと記載されているものがあります。これは、薬が免疫細胞の働きを調整する過程で、結果として涙腺や唾液腺に対する自己攻撃を誘発してしまうことを示唆しています。また、薬の副作用として「ドライアイ」や「口渇(こうかつ)」、あるいは「涙腺炎」「唾液腺炎」といったシェーグレン症候群の主要な症状が記載されているケースも多く存在します。これは、病名そのものではなくても、実質的にシェーグレン症候群と同様の病態を引き起こしていることを意味します。このような例は決して少なくなく、一部の専門家は、原因不明の難病とされるシェーグレン症候群の増加には、現代医学で用いられる薬物が関与している可能性もあると警鐘を鳴らしています。したがって、原因を特定するためには、患者さんの過去の服薬歴や治療歴を詳細に確認することが非常に重要になってきます。

参考YouTube動画
>>和田アキ子さん、菊池桃子さんそしてひろゆきさんの奥さん、シェーグレン症候群は原因不明の謎の疾患ではありません。病気を引き起こしている真の犯人

参考鍼灸が目指す東洋医学的な全身のアプローチ

シェーグレン症候群に対する鍼灸治療の最大の特長は、西洋医学が注目する局所の乾燥症状に留まらず、全身の機能改善を目指すという東洋医学的な視点にあります。東洋医学の考え方では、ドライアイやドライマウスといった乾燥症状は、体内の「水」のめぐりを司る特定の臓腑(ぞうふ)の機能低下や、エネルギーの通り道である経絡(けいらく)の滞りが原因であると捉えます。特にシェーグレン症候群の場合、「潤い」に関わるの機能や、水液の代謝に関わる、そして消化吸収と気(エネルギー)の生成を担う脾(ひ)の弱りが重要視されます。例えば、いくら水分を摂っても体が潤わないのは、これらの臓腑の働きが低下しているためと考えるのです。

鍼灸師は、問診や脈診、舌診といった独自の診断法を用いて、患者さん一人ひとりの体質と、どの臓腑が最も弱っているかを特定します。そこで、体の「ツボ」(経穴)に鍼や灸を用いて刺激を与えることで、単に痛みを取るだけでなく、弱った臓腑の機能を補い、全身の気の流れを整えます。このため、前述の通り、豊島区の機能回復券の対象となっていることからもわかるように、鍼灸は単なる対症療法ではなく、体質の根本的な改善を通じて、自己免疫の異常や炎症を鎮静化させることを目指しているのです。その結果、目や口の乾燥症状だけでなく、全身の倦怠感や関節の痛み、首や肩のこりといった付随する全身症状の改善も期待できると言えるでしょう。

局所症状と自律神経への指圧・マッサージ効果

シェーグレン症候群に対するマッサージ

指圧やマッサージは、シェーグレン症候群の局所症状の緩和と自律神経の調整において重要な役割を果たします。局所症状であるドライマウスやドライアイに対しては、鍼灸治療と並行して、特定の部位への指圧やマッサージが血行促進と唾液・涙液の分泌量増加を促します。特に、唾液腺周辺の筋肉や組織をほぐすことで、前述のマッサージ方法のような物理的な刺激による分泌訓練をサポートします。これにより、残存している分泌腺の機能を最大限に引き出し、人工唾液への依存を減らすことが期待されます。

一方、シェーグレン症候群を含む多くの自己免疫疾患は、自律神経の乱れと密接に関連していることが知られています。精神的・肉体的なストレスが自律神経のバランスを崩し、症状を悪化させる一因となるからです。指圧やマッサージは、首や肩周り、背中といった自律神経が集中する部位を緩めることで、副交感神経を優位にし、リラックス状態を導きます。これにより、全身の緊張が緩和され、過剰に高まっていた免疫システムの反応を落ち着かせる効果が期待できます。もちろん、指圧やマッサージはあくまで補完的な治療であり、医療機関での専門的な治療を中断すべきではありません。しかし、多くのシェーグレン症候群の患者さんが訴える全身倦怠感やこりといった症状、さらには慢性的なストレスを軽減させる上で、指圧・マッサージは非常に有用なアプローチと言えるのです。

唾液分泌を促すセルフケアと鍼灸治療の併用

シェーグレン症候群の治療において、最も効果を発揮するのは、専門家による鍼灸治療や指圧に加えて、患者さん自身が行うセルフケアです。前述の通り、唾液の自発的な分泌を促す訓練は、分泌腺の機能維持に不可欠であり、これには食事の際の「よく噛む」習慣と「大唾液腺マッサージ」が中心となります。ただし、これらのセルフケアの努力も、体全体のコンディションが整っていなければ、十分な効果を発揮できません。

そこで重要となるのが、鍼灸治療との併用です。鍼灸治療は、東洋医学的なアプローチにより、全身の「気・血・水」のバランスを整え、特に唾液や涙の生成に関わる臓腑の機能を底上げします。この体質改善という土台があるからこそ、マッサージや咀嚼といった局所的なセルフケアの効果が最大限に引き出されるのです。例えば、鍼灸によって血行が改善し、炎症が鎮静化することで、マッサージの効果で唾液腺に届く栄養や酸素の量が増加し、より効率的に唾液分泌が促されるという相乗効果が期待できます。しかし、注意点として、セルフケアを頑張りすぎるあまり、患部に不必要な刺激を与えすぎないようにすることが大切です。また、鍼灸は補完的な治療法であるため、病状の正確な把握と、眼科や歯科、リウマチ科といった専門医による定期的な診察は絶対に欠かせません。治療効果を最大限に高めるためには、自己判断で治療を中断することなく、専門家と協力しながら、食事改善、セルフマッサージ、そして鍼灸治療を継続的に行っていく姿勢が求められます。

シェーグレン症候群への鍼灸・指圧・マッサージを活かした統合的アプローチ

  • シェーグレン症候群は涙腺・唾液腺が障害される自己免疫疾患である
  • 発症率は男女比1:17と中高年女性に圧倒的に多い難病である
  • 病態は免疫細胞が分泌腺を誤って攻撃する自己免疫の異常とされる
  • 主症状はドライマウスとドライアイであり、QOLを著しく低下させる
  • ドライマウスは嚥下障害や虫歯多発といった深刻な問題を引き起こす
  • 閉経後の女性はエストロゲン減少により唾液量が急減し症状が悪化しやすい
  • 豊島区では難病患者向けに鍼灸・マッサージに使える機能回復券が配布されている
  • 発症原因として、食生活の乱れから生じる「四毒」(小麦、植物性油脂など)の関連が指摘されている
  • 進行を止めるには、小麦(グルテン)と植物性油脂の徹底的な制限が必要不可
  • 玄米や昆布など、意識的に「よく噛む」食材を摂ることが唾液腺の訓練となる
  • 大唾液腺マッサージは人工唾液への依存を防ぎ、自力での分泌力を取り戻す訓練となる
  • 自己免疫疾患は豊胸手術のシリコンやワクチンに含まれるアジュバントによって誘発される可能性がある
  • 一部の抗悪性腫瘍剤など、特定の医薬品の副作用でシェーグレン症候群が発症する例がある
  • 鍼灸治療は、東洋医学的に肺・脾・腎といった臓腑の機能改善と体質改善を目指す
  • 指圧・マッサージは局所の血行促進に加え、自律神経を整え症状緩和に役立つ
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